平日、仕事で外出すると、たまにローディーを見かけることがあります。自分とは違う時間軸で生活していても、ロードバイクという共通した趣味を持った方に対して妙な親近感と仲間意識を覚えるものです。今日はそんな平日に見かけるローディーをエモい瞬間として捉えてみました。
あっ、あそこに、ローディーが。
平日の昼下がり、仕事で外出した帰り道。駅へ向かう途中の交差点で信号を待っていると、一台のロードバイクが目の前を通り過ぎていった。鮮やかなサイクルジャージに身を包み、軽やかにペダルを回すローディー。雲ひとつない青空の下、気持ちよさそうに走っていくその姿を、思わず目で追ってしまった。
こちらは朝から会議に追われ、午後も予定が詰まっている。スマートフォンには未読のメールが溜まり、会社に戻れば片付けなければならない仕事が待っている。そんな自分の目の前を、まるで休日のような時間を過ごしている誰かが走り抜けていく。
今日は休みなのだろうか。それとも平日に休める仕事をしているのだろうか。そんなことを考えながら、少しだけ羨ましくなる。自分も今すぐこの革靴を脱ぎ捨て、ビンディングシューズに履き替えて走り出したい。あのローディーが向かう先には、どんな景色が待っているのだろう。
不思議なことに、休日にすれ違うロードバイクには、こんな気持ちにならない。同じ趣味を楽しむ仲間として眺めるだけなのに、仕事中に見かける一台は特別に輝いて見える。自分が時間に追われているからこそ、自由に走っている姿が眩しいのかもしれない。
ふと週末の自分を思い出す。平日の疲れを忘れ、朝からロードバイクに跨って好きな道を走る時間。信号待ちで隣に並んだ会社員や、足早に駅へ向かう人たちのことなど、これまで意識したこともなかった。でも、あの日の自分も誰かから見れば、平日のローディーと同じように映っていたのだろうか。
信号が青に変わり、人の流れに合わせて歩き出す。さっきのロードバイクはもう見えない。いつもどおりの街並みが広がり、仕事へ向かう現実に戻っていく。それでも、ほんの数秒だけ見かけたあの姿が、なぜか心に残っている。
誰かが働いている時間に、誰かが自転車を楽しんでいる。そして自分が休日を満喫しているときにも、きっとどこかで働いている人がいる。そんな当たり前のことに気づくと、自分に与えられた休日が少しだけ愛おしく思えてくる。
次の休みはどこへ走りに行こう。会社へ戻る足取りは相変わらず重いけれど、週末の予定を考える気持ちは少し弾んでいた。あのローディーが見せてくれたのは、ほんの一瞬の自由な風景。そして、数日後には自分にも訪れる、大好きな時間の予告だった。



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