初心者がライド前日に絶対やってしまうこと

ロードバイクおぢ

ライド前日は、初心者にとって遠足の前日そのものです。忘れ物はないか、天気は大丈夫か、自転車に異常はないかと、気になって何度も確認してしまいます。本当は一度見れば十分なことでも、なぜかもう一回チェックしたくなるのが初心者あるあるです。今回は、初めてのライドや始めたばかりの頃に、多くのローディーが前日にやってしまう行動をご紹介します。

天気予報を10回以上見る

初心者にとってライド前日の天気予報は、一度確認しただけでは安心できません。夕方に見て、夕食後に見て、風呂上がりにも見て、寝る直前には別のアプリまで開きます。表示される降水確率や気温はほとんど変わっていないのに、更新するたび明日の空模様が好転するような気がしてしまいます。

晴れ予報でも油断はできません。降水確率が10%と表示されれば、その雨が自分の走る時間と場所だけを狙ってくる可能性を考えます。雲の動き、時間帯別の気温、風向き、風速まで順番に眺め、目的地付近の予報も念入りに調べます。確認項目が増えるほど安心できるはずなのに、見れば見るほど新しい不安が見つかるのが不思議です。

さらに気になるのが、予報サイトごとに内容が少し違う場合です。一方は晴れ、もう一方は曇り時々雨となっていれば、都合のよいほうを信じながらも悪い結果を完全には無視できません。最終的には複数の画面を何度も往復し、「たぶん大丈夫でしょう」という、最初から分かっていた結論へ戻ります。

当日の朝になれば窓を開け、スマホの情報ではなく実際の空を確認します。それでも出発直前にもう一度予報を開くため、前日から数えれば10回では済みません。天候を慎重に調べているというより、楽しみにしている気持ちを天気アプリへぶつけているだけなのです。

空気圧を無駄に確認

初心者はライド前日の空気圧にも妙な不安を覚えます。夕方にポンプで適正値まで入れたはずなのに、数時間後にはタイヤを親指で押し、「少し柔らかくなった気がする」と再びゲージをつなぎます。表示された数値がほとんど変わっていなくても、いったんポンプを外したことで空気が抜けたのではないかと心配になり、念のためもう一度だけ足しておきます。

困るのは、適正値より高ければ安心できると思ってしまうことです。低圧でパンクするのが怖くなり、推奨範囲の上限付近まで入れれば万全だと考えます。ところが翌日は路面の細かな振動をすべて拾い、開始早々に手や腰が疲れてきます。それでも原因が空気の入れすぎだとは思わず、「ロードバイクはやはり身体に厳しい乗り物ですね」と納得してしまいます。

前輪を押し、後輪を押し、左右から眺め、バルブが緩んでいないかまで触ります。確認を終えて部屋へ戻っても、しばらくすると今度はスローパンクが気になり、またタイヤへ向かいます。実際に異常が起きている可能性より、自分が見落としている可能性のほうが怖いのです。

出発当日の朝にも同じ作業を繰り返すため、前日に何度測ってもあまり意味はありません。それでも数値が表示されるたび、明日の準備が一歩進んだ気持ちになります。空気圧を調整しているようで、実際には膨らみ続ける期待と不安をポンプで整えているのです。

明日着るジャージを並べておく

初心者は翌日に着るサイクルジャージを、寝る前から床やベッドの上へきれいに並べます。ジャージ、ビブショーツ、ソックス、グローブ、インナーまで順番に置き、最後にヘルメットとサングラスを添えれば、出発準備というより記念撮影のセットが完成します。朝に探す手間を省くための行動ですが、本当の目的は装備一式を眺めながら、明日の自分を想像することです。

組み合わせにも必要以上に悩みます。上下の色が合っているか、ソックスだけ浮いていないか、ヘルメットとの相性は悪くないかと、鏡の前で試着を始めます。一度決めたあとも別のジャージが気になり、着替えては写真を撮り、結局最初の組み合わせへ戻ります。誰かに見せる予定がなくても、格好だけはベテランらしく仕上げたいのです。

すべてを整えた状態で眺めていると、まだ走ってもいないのに気分だけは目的地へ到着しています。ポケットへ何を入れるかまで考え始め、補給食や財布を実際に差し込んで容量を確かめる人もいます。ただし翌朝になると気温が想像より低く、用意していなかったウインドブレーカーを慌てて探すことになります。

衣類を並べておく作業は、忘れ物防止として確かに役立ちます。しかし初心者が費やす時間の大半は実用的な準備ではなく、完成したコーディネートを見て満足するためのものです。枕元に置かれた一式は、明日のライドを約束してくれる遠足前の制服なのです。

フロントライトの充電チェック

初心者が前日に気にする装備の中でも、フロントライトは特に信用されていません。つい先ほど満充電を確認したばかりでも、電源ボタンを押して点灯するか確かめ、消したあとにもう一度ケーブルへつなぎます。充電ランプが緑色なら問題ないはずですが、「本当に満タンなのか」「途中で切れないか」と疑い始め、出発時刻まで充電器から外せなくなります。

日中だけの予定でも油断はしません。帰宅が遅れた場合、トンネルへ入った場合、急に空が暗くなった場合まで想定し、最強モードで何時間使えるのかを調べます。説明書を読み返し、点滅と常時点灯の持続時間を比較し、結局は最も明るい設定で短時間だけ使う予定を立てます。しかし実際の走行では電池を温存したくなり、薄暗い道でも弱い光のまま進みがちです。

充電端子のカバーが閉まっているか、ブラケットにしっかり固定されているか、照射角度が下を向きすぎていないかも気になります。ハンドルへ取り付けて点灯させ、部屋の壁を照らして光軸を調整します。その様子を家族に見られ、「明日どこまで行くの」と聞かれても、距離より先にライトの性能を説明してしまいます。

安全に関わる機器を事前に点検するのは大切です。ただし何度も点灯させて遊んでいるうちに、せっかく満たした電池を少しずつ消費していることには気づきません。最後は充電中の小さなランプを眺めながら、明日の冒険に必要な光を育てているような気分になるのです。

予備チューブを2本用意

初心者はパンクへの恐怖が強すぎるあまり、日帰りの短いライドでも予備チューブを2本用意します。1本あれば十分だと分かっていても、交換した直後にもう一度穴が開く場面や、作業中に新品を傷つける失敗まで想像してしまいます。まだ一度も路上で修理した経験がないのに、頭の中ではすでに二度のトラブルを乗り越えています。

サドルバッグへ収めようとすると、チューブだけで大半の場所が埋まります。そこへタイヤレバー、携帯ポンプ、鍵、工具を加えれば、ファスナーは閉まりそうで閉まりません。それでも1本を減らす決断はできず、ジャージの背面ポケットへ移したり、輪ゴムで小さくまとめたりしながら収納方法を工夫します。車体を軽くしたくてボトルの水を少なめにする一方、ゴム製の安心材料はしっかり2本持ち歩きます。

さらにチューブのサイズやバルブ長まで心配になり、箱の表示とタイヤの側面を見比べます。購入時に店員へ選んでもらった品でも、「本当に自分のホイールへ使えるのか」と袋から取り出して眺めたくなります。ただし広げてしまうと元の大きさへ戻せない気がするため、未開封のまま手で触って確認するだけです。

走り終える頃まで出番がなければ、2本とも単なる荷物だったことになります。それでも無事に帰宅できたのは予備を多めに持ったおかげだと考え、次回も同じ本数を詰め込みます。使わないことが理想の装備だからこそ、初心者のサドルバッグでは最も大きな安心感を占領しているのです。

まとめ|ワクワクがとまらない

ライド前日に繰り返してしまう行動は、どれも効率だけを考えれば少し過剰です。空模様を何度も確かめ、タイヤを触り、着るものを並べ、ライトを充電し、使うか分からない予備チューブまで詰め込みます。ひとつ終えるたびに別の気がかりが浮かび、準備はなかなか完了しません。それでも面倒とは感じず、むしろ作業を続けられることがうれしいのです。

始めたばかりの頃は、走ることそのものだけでなく、出発までの時間にも特別な楽しさがあります。目的地の景色を思い浮かべ、坂を越える自分を想像し、帰り道にどこへ寄るかまで考えているうちに、身体は自宅にいても気持ちはすでに走り出しています。前夜の落ち着かなさは不慣れだから生まれるものではなく、自転車へ夢中になっている証拠でもあります。

経験を重ねると、必要な物や点検箇所が分かるようになり、支度にかかる時間は短くなります。ジャージは朝に選び、ライトは残量を見て終わり、予備品も必要最低限になります。手際が良くなるのは歓迎すべき変化ですが、何度も部屋を行き来していた頃の高揚感は、少しずつ薄れていくかもしれません。

だからこそ今のうちに、眠れないほど楽しみな夜を存分に味わっておくべきです。無駄に見える一つひとつの行動まで含めて、初心者時代にしか得られない貴重な思い出になります。ワクワクがとまらない前日は、すでにライドの一部なのです。

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