ロードバイクで見かけるエモい瞬間 Vol.044 ~秋の気配~

雑記コラム

まだまだ残暑が残っているものの、少しだけ秋の気配を感じる今日この頃。ようやく日中のライドが苦ではなくなってきましたね。これから1~2か月かけて気温も少しずつ秋に、そして冬に近づいていくことでしょう。これからの3か月間は一番好きな季節だったりします。

暑さ、寒さも、彼岸まで

暦の上では秋になっても、昼間の気温はまだ高い。日差しを浴びながらペダルを回していると、夏が終わったなんて到底思えない。それでも朝のロードバイクには、少しずつ次の季節が混ざり始める。玄関を出た瞬間に感じる空気が、数週間前とはわずかに違う。肌にまとわりついていた湿気が薄れ、走り出せば頬を抜ける風にほんの少し冷たさがある。サイコンに表示される気温を確認するほどではない。ただ身体のどこかが「夏とは違う」と気づいている。

いつもの道を、いつものロードバイクで走る。見慣れた住宅街を抜け、信号を曲がり、河川敷へ出る。景色そのものは大きく変わっていない。木々はまだ緑色で、空には夏らしい雲が残っている。それなのに妙に走りやすい。真夏なら止まった瞬間に汗が噴き出していた信号待ちも、今日は少し楽だ。ボトルへ手を伸ばす回数も減っている。そんな小さな違いを積み重ねながら走っていると、ようやく気づく。ああ、秋が来ようとしているんだ、と。

ロードバイクに乗っていると、季節の境目が曖昧なことを知る。夏が終わった翌日に秋が始まるわけではない。昨日まで暑かった道に、ある朝突然ひんやりした風が吹く。蝉の声がいつの間にか少なくなり、道路脇から聞こえる虫の音が変わる。日差しの角度も少し低くなり、路面に落ちる自分と愛車の影が以前より長くなっている。そんな変化を一つずつ拾いながら、季節は静かに進んでいく。

やがて本格的な秋になれば、半袖ジャージだけでは肌寒い朝がやってくる。山では木々が色づき、夏とはまったく違う景色の中を走れるようになる。それも楽しみではある。でも心に残るのは、案外こういう季節の途中なのかもしれない。夏でもなく、まだ秋とも言い切れない朝。いつものコースを走っているだけなのに、風の温度ひとつで少しだけ新鮮に感じる。

季節が変われば、同じ道も違う表情を見せる。だからロードバイクは飽きない。何度走った道でも、その日の空気、その日の光、その日の匂いがある。夏を走り切った脚で感じる最初の涼しい風。それは今年もたくさん走った人だけがペダルの上で受け取れる、秋からの小さな知らせだ。

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