ロードバイクで見かけるエモい瞬間 Vol.033~台風一過~

雑記コラム

台風の接近で週末のライドを諦めかけた経験があるローディーは少なくないはず。しかし翌朝、カーテンを開けた先に広がる青空を見た瞬間、その不安は期待へと変わります。今回は、台風一過の晴天がもたらす特別な高揚感をお届けします。

昨日の、大雨が、嘘のよう

金曜日の昼頃から、スマホの天気予報ばかり眺めていた。週末は久しぶりにまとまった距離を走る予定だった。仕事も調整し、家の用事も済ませ、あとは土曜日の朝を待つだけ。そんなタイミングで台風が近づいてきた。雨だけならまだいい。問題は風だ。ロードバイクにとって台風の強風はどうにもならない。どれだけ脚があっても、どれだけ良い機材に乗っていても、自然には勝てない。

金曜日の夕方には雨脚が強くなり始めた。窓を叩く雨音を聞きながら、半分諦めた気持ちで愛車を眺める。せっかく楽しみにしていた週末なのにな。そんなことを考えながら夜を迎えた。寝る前も天気予報を確認する。朝には抜けるかもしれない。いや、昼まで残るかもしれない。期待して裏切られるのも嫌なので、なるべく考えないようにして布団へ入った。

翌朝。目が覚めた瞬間、真っ先にカーテンを開けた。

すると目の前に広がっていたのは、驚くほど青い空だった。昨日までの暴風雨が嘘だったかのような晴天。思わず笑ってしまう。理由は分からない。ただ空を見ただけなのに、胸の奥から嬉しさが込み上げてくる。

急いで支度をする必要もないのに、なぜか動きが速くなる。ボトルに水を入れ、補給食をポケットへ入れ、タイヤの空気圧を確認する。どれもいつもの準備なのに楽しくて仕方がない。家を出ると、空気はいつもより澄んでいた。遠くの山並みまでくっきり見え、道路脇には昨夜の雨の名残が残っている。その景色さえ特別に見えた。

まだ走り始めたばかりなのに、今日は良い一日になる気がする。根拠なんてない。向かい風に苦しむかもしれないし、脚が売り切れるかもしれない。それでも不思議とそんなことはどうでもよかった。昨夜まで失われたと思っていた週末が、再び戻ってきた。それだけで十分だった。

青空の下でペダルを回しながら思う。台風一過の朝には、ただ晴れているだけではない特別な嬉しさがある。走れることを当たり前だと思わなくなるからだ。だからこそ、あの日の空はいつもより少しだけ青く見えるのである。

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