10月に入って一気に天候が回復した関東。まさに一年の中で一番ライドが気持ちいい時期ですね。一か月近く走れなかったことを考えると、ライド中に眺める光景がすっかり秋めいていることに気が付きます。今日はそんな季節の変わり目をエモい瞬間としてお届けしてみました。
季節は、終わりを、告げて
いつもの河川敷を走っていると、見慣れた景色がいつもと少し違って見えることがある。特別なものが増えたわけでも、道が変わったわけでもない。ただ、川沿いに広がるススキの穂が、傾き始めた夕日を浴びて銀色に輝いている。夏には青々とした草が生い茂っていた土手が、いつの間にか柔らかな光に包まれていた。
少し前まで、この時間に走っていても太陽はまだ高い位置にあった。汗をかきながらペダルを回し、日差しの強さにうんざりすることもあった。それが今では、同じ時間なのに影が長く伸び、肌をなでる風にも涼しさが混じっている。季節が変わったことは頭ではわかっていたはずなのに、目の前のススキを見て初めて秋が深まっていることを実感する。
風が吹くたびに無数の穂が一斉に揺れる。銀色だった穂先が光の角度によって金色に変わり、また白く輝く。その様子は、まるで河川敷全体が静かに呼吸しているようだ。思わずペダルを緩め、道端の安全な場所にロードバイクを止める。いつもなら速度や距離を気にして通り過ぎてしまう場所なのに、今日はもう少しだけ眺めていたい。
遠くでは犬を連れて散歩する人が歩き、川面には夕焼けが映っている。聞こえるのは草が擦れ合う音と、ときおり通り過ぎる自転車のタイヤの音。何か特別な出来事が起きているわけではない。それでも、この時間、この光、この風が重なって生まれた景色は、今しか見ることができないものなのだと思う。
考えてみれば、今年も何度となくこの道を走ってきた。春には新しい草が芽吹き、夏には背丈ほどに伸びた緑が風に揺れた。そして今、ススキの穂が夕日に照らされている。自分では変わらない日常を繰り返しているつもりでも、季節は確かに進んでいる。毎週のように同じ場所を走っているからこそ、その小さな変化が愛おしく感じられる。
やがて太陽がさらに傾き、銀色の輝きが少しずつ薄れていく。名残惜しさを感じながら再びサドルに跨る。帰り道、背中に受ける夕日の温もりが心地よい。もう少しすれば、この河川敷にも冬の冷たい風が吹くだろう。次にここを走るときには、また違う表情を見せてくれるのかもしれない。
いつもの道に、いつもとは違う美しさがある。そんな当たり前のことを、夕日に光るススキの穂が教えてくれた秋の夕暮れだった。



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