洗車したあと、一発目のライドって気持ちいいですよね。特に駆動部分のスムーズな動きには思わず笑みを浮かべてしまいます。今日はそんな洗車後のライドをエモい瞬間としてお届けしたいと!
実感する、軽い、漕ぎ味
週末金曜夜の数時間を費やし、徹底的に愛車を洗車した。特に駆動系、コンポーネント回りは入念だ。ディレイラーのプーリーにこびりついた真っ黒な油泥を掻き出し、スプロケットの隙間にブラシを入れ、チェーンは一コマずつ輝きを取り戻すまで執念深く脱脂した。仕上げに新しいオイルを丁寧に注し、余分な油分をウエスで拭き取る。注油されたばかりのチェーンがスプロケットの上を静かに渡る音を確認し、その日は眠りについた。
明くる朝、まだ空気の冷たい土曜日の市街地へ滑り出す。
最初の交差点、信号が青に変わると同時に、サドルから腰を上げてペダルに体重を乗せた。その瞬間、脳が予期していた「いつもの抵抗」が、どこにも存在しないことに気づく。
「……軽い」
思わず、ヘルメットの下で口元が緩んだ。
昨日までの、どこか粘り気のある、わずかにざらついた踏み応えは完全に消え去っている。クランクを回した分だけ、ロスなく100%の力がダイレクトに後輪へと伝わり、アスファルトを蹴り出していく感覚。チェーンは一切の雑音を立てず、まるで滑らかな絹の帯のように歯数の上をすり抜けていく。変速レバーを押し込めば、乾いた金属音とともに、寸分の狂いもなくチェーンが隣のギアへと吸い込まれた。
ただ洗車をして、オイルを注し直しただけだ。出力が上がったわけでも、高級な軽量パーツに変えたわけでもない。それなのに、自分の肉体まで新しくなったかのような錯覚に陥る。
速度が乗るにつれて、耳元をすり抜けていく風の音だけが大きくなっていく。自分のペダリングの回転と、愛車の駆動系が完全に調和している。その完璧なストイックさと滑らかさが心地よくて、用もないのに無駄にシフトアップとシフトダウンを繰り返してしまう。
乗り手の愛情に、機械はどこまでも愚直に応えてくれる。ペダルを踏み込むたびに伝わってくる圧倒的な純度の「軽さ」に、ただただ胸がすく。ヘルメットのシールド越しに差し込む朝日に目を細めながら、サイクリストは誰に見せるでもない満足げな笑みを浮かべ、さらに深くギヤを掛け変えた。


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