ロードバイクで見かけるエモい瞬間 Vol.048 ~背中を追う姿~

雑記コラム

一か月以上続いた雨もようやく影を潜め、秋らしい日差しが出るようになりましたね。10月は一年の中でも特に気持ちがいい季節ですし、自転車に乗れなかったうっぷんを晴らすかの如く週末はライドを愉しみました。それは小さなお子さんのいる親子も同じだったようです。今日はライド中に見かけた親子の姿をエモい瞬間としてお届けしたいと。

親子で、一緒に、走る

休日のサイクリングロードを走っていると、少し先に二台の自転車が見えた。前を走るのは父親、その数メートル後ろを小さな自転車に乗った子どもが追いかけている。まだ大人と同じ速度では走れないのだろう。父親が少し進んでは速度を落とし、後ろを振り返る。そのたびに子どもは小さな脚で懸命にペダルを回し、開いた距離を縮めていく。補助輪はもうない。ハンドルを自分で握り、バランスを取り、自分の力だけで前へ進んでいる。

父親は決して遠くへ行かない。それでもずっと隣を走るわけでもない。少し前にいて、ときどき後ろを見る。子どもにとって、その背中は追いつきたい目標なのかもしれない。必死にペダルを踏む姿からは「待って」と声を上げるより、自分で追いつこうとする気持ちが伝わってくる。やがて父親の横まで並ぶと、何かを話しながら二人で走り始めた。しかし少しすると、また父親が前へ出る。そして子どもがその背中を追う。同じ光景が何度も繰り返される。

その様子を後ろから眺めていると、不思議と何年か先の二人を想像してしまう。今は父親の背中を目印に走っている子どもも、身体が大きくなればもっと速くなる。自転車も大きくなり、走れる距離も伸びていく。いつか父親が「ちょっと待ってくれ」と声をかける日が来るのかもしれない。そのとき前を走っているのは、今日必死に背中を追いかけていたこの子だ。

親子で一緒に走れる時間は、思っているほど長くない。子どもは成長し、友達と遊ぶようになり、自分だけの休日を過ごすようになる。今日のサイクリングも二人にとっては特別な出来事ではなく、いつもの休日のひとコマなのだろう。それでも何年か経ったあと、父親は小さな自転車で後ろを追いかけてきた姿を思い出すかもしれない。子どももまた、いつも少し先を走っていた父親の背中を覚えているかもしれない。

二台の自転車は、そのままゆっくり遠ざかっていった。今はまだ父親が前で、子どもが後ろ。その順番が入れ替わる日は、きっと想像しているより早くやってくる。

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