ライド前日だけ異常なほど「しごでき」になる人たち

ロードバイクおぢ

「なんで今日はそんなに仕事が早いの?」。ライド前日のローディーは、職場でそう言われるほど別人になります。定時までダラダラ仕事をすることはなく、面倒な案件も率先して片付け、トラブルの芽まで先回りして処理。すべては翌朝、何の心配もなくロードバイクに乗るためです。今回は、ライド前日だけ異常なほど「しごでき」になるローディーの生態を紹介します。

定時30分前には仕事が完璧に終わっている

ライド前日のローディーは、会社で最も仕事ができる人へと進化します。普段なら「これは明日の午前中でいいか」と後回しにする作業も、この日だけは絶対に残しません。メールの返信、資料の修正、報告書の提出、細かな事務作業まで次々と片付き、気が付けば定時30分前にはデスクの上が驚くほどきれいになっています。

その理由はとても単純です。翌朝は早起きしてロードバイクに乗る予定だからです。もし仕事を残して帰れば、「あれ、終わってないよね」「朝イチで対応お願い」といった連絡が飛んでくる可能性があります。そんな不安を抱えたままライドへ出発することだけは、何としても避けたいのです。

そのため、この日の集中力は普段とは比べものになりません。無駄なネットサーフィンも、意味のない雑談も、スマホを眺める時間もほぼ消滅します。頭の中では「18時退勤」「帰宅後に洗車」「ウェア準備」「5時起床」という完璧なタイムスケジュールが組まれているため、仕事中とは思えないほどテキパキ動きます。

そして定時になる頃には、「今日はもうやることありません」と言わんばかりの表情でパソコンを閉じます。その姿を見た上司や同僚は「毎日そのくらい集中してくれればいいのに」と心の中で思っているかもしれません。しかし本人にとっては、仕事が早く終わったのではありません。明日のライドが待っているから、驚異的な能力を発揮しただけなのです。

面倒な案件から先に片付ける

ライド前日のローディーは、不思議なくらい面倒な仕事から手を付けます。普段なら「あとで考えよう」と見て見ぬふりをしていた案件も、この日だけは真っ先に処理対象です。電話しづらい相手への連絡、時間がかかる資料作成、判断に悩む案件まで、一番気が重いものから次々と片付けていきます。

理由はシンプルです。翌日に持ち越したくないからです。もし厄介な案件を残したまま帰宅すれば、ライド中も「あの件どうなったかな」「月曜の朝イチで電話しないと…」と頭の片隅に居座り続けます。それでは景色を楽しんでいても、峠を登っていても心から楽しめません。ローディーにとって最大の敵は向かい風ではなく、未処理の案件なのです。

そのため、この日は判断も驚くほど早くなります。必要な人へ相談し、確認事項はその場で片付け、返信待ちになりそうな案件も先回りして動きます。普段より決断力が増しているため、周囲からは「今日はやけに仕事が進みますね」と思われることもあります。

もちろん本人は仕事への情熱が急に燃え上がったわけではありません。頭の中では「この案件が終われば、明日は何も気にせず走れる」という考えしかありません。ライド前日のローディーにとって、面倒な仕事とは避けるものではなく、最初に倒しておく中ボスのような存在なのです。

業務で起こりそうなトラブルの種は未然に潰す

ライド前日のローディーは、仕事を終わらせるだけでは満足しません。翌日に火を吹きそうな案件を見つけると、その芽を徹底的に摘みにいきます。「このメールは誤解されそうだから一文足しておこう」「ここは先に確認しておけば月曜に揉めないな」と、未来のトラブルを予知したかのような動きを見せ始めます。

これは責任感が急に強くなったわけではありません。月曜の朝、スマホを開いた瞬間に「至急」「確認お願いします」「どうなっていますか?」という件名が並ぶ未来だけは、何としても回避したいのです。そのため普段以上に確認を重ね、関係者への共有も早くなり、「念のため」が異様に増えていきます。

さらに「もし担当者が休みだったら」「ここで認識がズレたら」と、一つ先、二つ先まで考えて行動するようになります。その姿はまるで優秀なプロジェクトマネージャーそのものです。同僚からすれば「今日は仕事が丁寧だな」と感心する場面ですが、本人の頭の中は翌朝のライドコースでいっぱいです。

結果として、翌日に問題が起こりそうな案件は見事なまでに整理され、安心して会社を後にできます。ローディーはライド前日だけ、危険予測能力が異常なほど高まります。その能力を毎日発揮できれば、人事評価ももう少し上がるのかもしれません。

同僚や部下への気配りも徹底

ライド前日のローディーは、自分の仕事だけ終わればいいとは考えません。同僚や部下の様子まで気になり始めます。「困っていることありませんか?」「その件、私がやっておきますよ」と普段以上に声を掛け、頼まれごとも驚くほど快く引き受けます。一見すると理想の上司、理想の先輩そのものです。

もちろん理由は優しさだけではありません。誰かが困ったまま週末を迎えると、「すみません、ちょっと確認いいですか」「電話しても大丈夫ですか」と自分へ連絡が来る可能性があるからです。その未来を避けるためなら、多少の手間は惜しみません。先回りしてフォローしておいたほうが、結果的に安心してライドへ出発できると知っているのです。

そのためライド前日は、引き継ぎも丁寧になります。「念のため資料はここです」「もし何かあれば、この手順で進めてください」と、普段より説明が細かくなります。同僚からは「今日はずいぶん親切ですね」と感謝されますが、本人は内心で「どうか私を呼び戻さないでください」と祈っています。

こうして職場全体が平和な状態になったことを確認すると、ようやく安心して退勤できます。ライド前日のローディーは、思いやりにあふれた理想のビジネスパーソンへ変身します。ただその原動力は、翌朝ロードバイクへ気持ちよく乗るためという、とても分かりやすい理由なのです。

まとめ|毎日そうしろよ!と言われそうでも

ライド前日のローディーは、驚くほど仕事ができます。定時前には仕事を終わらせ、厄介な案件を先に片付け、トラブルの芽を摘み、周囲へのフォローまで抜かりありません。その姿だけ見れば、「毎日この調子なら昇進も早そうだな」と思われても不思議ではありません。

しかし翌週になると、その圧倒的な集中力はどこへ行ったのかと思うほど、いつものペースへ戻ります。「あれ、先週金曜日の人はどこへ行った?」と同僚が首をかしげるのも時間の問題です。

もちろん本人も、毎日あの状態で仕事ができれば理想だということは分かっています。ただ、あれほどの能力を引き出せる燃料は「明日はロードバイクに乗れる」という特別なご褒美がある日だけなのです。

もし職場にライド前日だけ異様に仕事が速い人がいたら、週末の予定を聞いてみてください。きっと笑顔で「明日は朝から走ってきます」と答えてくれるはずです。そして心の中では、多くの人が同じ一言を思うでしょう。

「毎日そうしろよ!」と。

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