SHIMANOのSPD-SLクリートを交換しようとして、「黄色、青、赤……何が違うんだ?」と迷ったことはありませんか。同じように見えて、実はそれぞれ足を動かせる範囲や固定感が異なります。定番の黄色を使い続けるのか、青に変えるのか、それとも赤を選ぶのか。たった数度の違いがペダリングの感覚を左右する、3色のクリート選びを見ていきます。
そもそも3色は何が違う?
SHIMANOのSPD-SLクリートには黄色・青色・赤色があり、大きな違いはシューズをペダルに固定した状態で左右に動かせる「フロート角」です。黄色のSM-SH11は左右3度ずつの合計6度、青色のSM-SH12は左右1度ずつの合計2度、赤色のSM-SH10は0度に設定されています。数字が大きいほど足を左右に動かせる余裕があり、0度の赤色はクリートを装着すると足の向きが固定されます。
もうひとつ知っておきたいのが、動きの支点です。黄色はクリート前方を中心としてかかと側が動く設計ですが、青色は中央付近を支点として前後にわずかな動きを持たせています。そのため同じSPD-SLでも、黄色から青色へ交換すると単純に可動域が狭くなるだけではなく、足元の感覚にも違いが生まれます。
ここで興味深いのが、トッププロが必ずしも固定力の高い赤色を選んでいるわけではないことです。2026年のツールでも圧倒的な勝利を収めた世界最高峰で活躍するタデイ・ポガチャルも、フロート角が最も大きい黄色のSHIMANO SPD-SLクリートを使用しています。つまり3色は、初心者から上級者へ黄色→青色→赤色と移行するための序列ではありません。自分の身体やペダリングにどれだけ自由な動きを残したいのかによって選ぶことが重要です。
黄色|迷ったらまずコレ
黄色のSM-SH11は、SHIMANOのSPD-SLクリートの中でも足元に余裕を持たせたい人が選びやすいタイプです。左右に3度ずつ、合計6度のフロート角があり、ペダリング中にかかとをある程度動かせます。足の向きを完全に固定しないため、クリート位置が多少ずれていても違和感が出にくく、初めてビンディングペダルを使う人にも扱いやすいのが特徴です。
膝や足首の動きには個人差があり、ペダルを回している最中も足が常に同じ角度を向いているとは限りません。黄色ならその動きを許容できる範囲が広いため、「どれを選べばいいのか分からない」という場合の最初の候補にしやすいでしょう。ロードバイクに慣れてからも、あえて黄色を使い続ける人はいます。
一方で、動かせる範囲が広いぶん、青色や赤色と比べると足元の固定感は弱く感じられます。ただし、それを理由に黄色が初心者専用というわけではありません。無理に動きを制限するより、自分の身体が自然にペダリングできることのほうが重要です。特別な理由がなければ、まず黄色を基準にして、そこから自分がどの程度の固定感を求めるのか考えていくのが分かりやすい選び方です。
青色|安定感と自由度の中間
青色のSM-SH12は、黄色ほど足元を動かしたくないものの、完全に固定するのは避けたい人に向いています。フロート角は左右1度ずつの合計2度で、黄色の合計6度より動きを抑えながら、わずかな遊びを残しているのが特徴です。ペダリング中のかかとのブレを少なくしたいと感じたときに、候補になりやすいクリートです。
青色ならではの特徴が、フロートの支点がクリート前端ではなく中央付近に設定されていることです。前後方向に少しずつ動く構造のため、黄色から交換すると可動域の狭さだけでなく、足がペダルの上で収まりやすくなったような感覚を得る場合があります。黄色では自由度が大きすぎると感じる一方、赤色ほどシビアな固定を求めていないローディーにとって、両者の中間に位置する選択肢といえます。
ただし青色へ変更すれば、誰でもペダリングが良くなるわけではありません。許容される動きが少なくなるため、クリート位置の調整もより重要になります。黄色を使っていて足元の動きが気になるようになったら、次の選択肢として青色を試してみると、自分が求める固定感を見つけるきっかけになるでしょう。
赤色|固定派のための選択肢
赤色のSM-SH10はフロート角が0度で、SHIMANOのSPD-SLクリートの中で足の横方向への遊びを持たせないタイプです。ペダルに装着するとシューズの向きがほぼ一定になるため、足元が動く感覚をできるだけ抑えたい人に適しています。黄色や青色を使った際のわずかな動きまで気になるローディーにとっては、ダイレクトな固定感が魅力になります。
ただし自由に動かせる余裕がないぶん、クリートの取り付け位置や角度はより慎重に調整する必要があります。自分の自然な足の向きと合わない状態で固定すると、ペダリング中もその位置に足が拘束されることになります。そのため「赤色なら力を逃がさず速く走れる」「上級者なら赤色」と考えて選ぶものではありません。身体との相性やポジションを踏まえて使うことが重要です。
黄色や青色で不満がなく、自然にペダルを回せているなら、無理に赤色へ変更する必要はありません。一方でクリート位置を細かく調整でき、足元の遊びをなくした感覚を好むのであれば試す価値があります。3色の中でも好みとセッティングがはっきり表れやすい、固定派向けの選択肢といえるでしょう。
結局どの色を選べばいい?
クリート選びで迷ったときは、まず黄色のSM-SH11を基準に考えるのが分かりやすいでしょう。足元に十分な遊びがあるため、ペダリング中の自然な動きを妨げにくく、ビンディング初心者から長年乗っているローディーまで幅広く使えます。現在黄色を使用していて特に違和感がないのであれば、わざわざ別の色へ変更する必要もありません。
黄色ではかかとの動きが大きすぎると感じるなら、次に試したいのが青色のSM-SH12です。わずかなフロートを残しながら動きを抑えられるため、もう少し足元を安定させたい人に向いています。一方、赤色のSM-SH10は遊びがなく、足の向きを固定したい人のためのタイプです。取り付け位置や角度の影響を受けやすいため、単に「固定されているほうが効率的そう」という理由だけで選ぶのはおすすめできません。
黄色・青色・赤色に優劣があるわけではなく、大切なのは自分が無理なくペダルを回せることです。初心者だから黄色、上級者だから赤色という決まりもありません。迷ったら黄色、動きが気になるなら青色、明確に固定したい理由があるなら赤色。この考え方から選び始めると、自分に合った一枚を見つけやすくなります。
まとめ|正解は脚との相性
黄色・青色・赤色のどれを選ぶかで大切なのは、色のイメージや経験年数ではなく、自分の身体に合っているかどうかです。自由度を確保したいなら黄色、動きを少し抑えたいなら青色、足の向きをしっかり決めたいなら赤色と、それぞれに異なる特徴があります。上級者だから赤色を使うべきというルールもなければ、黄色を使い続けているから初心者ということもありません。
クリートは小さなパーツですが、ペダルを回している間はシューズとロードバイクをつなぎ続ける重要な存在です。だからこそ他人の選択をそのまま真似するのではなく、自分が自然に踏める組み合わせを見つけることが重要です。今使っている色で快適なら、そのままでも十分に正解です。違和感があるなら別の色を試し、取り付け位置も含めて見直してみましょう。最終的な答えを決めるのは、クリートの色ではなく自分の脚との相性なのです。



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