【妄想】もしもAppleがロードバイク「iBike」を作ったら?

ロードバイクおぢ

皆様、ついにこの日がやってきてしまいました。これまで数々の信者を沼に沈めてきたGAFAの巨人Appleが、ついに我々チャリカスの聖域に土足で踏み込んでくるようです。

ロードバイク界隈といえば、たかが数グラムの軽量化に数万円を投じ、ブランドロゴの有無でマウントを取り合う、ある種、選ばれし変態たちの集会所でした。一方でApple信者もまた、高い純正ケーブルを笑顔で買い増し、最新モデルが出るたびに腎臓を売る覚悟でストアに並ぶ、非常に訓練された人種です。

この「機材への執着」と「ブランドへの盲信」という、混ぜるな危険な二つの属性が融合したとき、一体どんな地獄が生まれるのでしょうか。

ただでさえ金銭感覚が麻痺しているローディーたちに、Appleが誇る最強のブランド商法が襲いかかる。想像してみてください。スペックよりもドヤ顔を優先し、使い勝手よりもスタックの高さを尊ぶ、究極の不自由。

今回は、もしもAppleが本気でロードバイクを設計したらどうなるのか、その恐ろしくも滑稽な未来を、皮肉たっぷりに妄想してみましょう。

Apple、衝撃のiBikeを発表

ついにシリコンバレーから放たれる「One more thing」

突然のスペシャルイベントで、ティム・クックが満面の笑みで放った言葉は、我々の財布を粉砕する死刑宣告でした。スクリーンに映し出されたのは、あまりにも滑らかで、あまりにも虚飾を排した、ただの銀色の塊。そうです、ついに自転車界の常識を再定義すると称する、iBikeの登場です。

これまでイタリアの老舗ブランドの歴史に酔いしれ、カーボン繊維の編み目一つに数万の価値を見出していた我々ローディーにとって、これは最大の屈辱であり、同時に最高のご褒美でもあります。なぜなら、Appleは性能なんて二の次の、圧倒的な体験を売りに来るからです。

発表会では、従来の自転車がいかに複雑で、いかに醜いボルトにまみれているかが熱弁されました。既存のコンポーネントメーカーが血の滲むような思いで開発した変速性能やブレーキの引きの軽さなど、シリコンバレーのエンジニアからすれば、旧時代の遺物に過ぎないのでしょう。

会場を埋め尽くした信者たちは、まだ実車に触れてすらいないのに、その洗練された曲線美に涙を流し、スタンディングオベーションを送ります。一方で画面の前のチャリカスたちは、専用規格の予感に震えながらも、心のどこかでiBikeを乗り回してスタバの最前列に駐輪する自分の姿を妄想し、指が勝手に注文ボタンを探し始めているのです。

かつてスマートフォンから物理ボタンを奪った彼らが、今度は我々の自転車から一体何を奪い、それをどうやって魔法のように見せかけて高値で売りつけてくるのか。衝撃の発表は、単なる新製品の告知ではなく、新たな宗教の開祖宣言に他なりませんでした。

独自規格の地獄

専用ツール以外でのメンテナンスを拒絶するプライド

さて、いよいよ我々チャリカスを最も震え上がらせる本題、独自規格の地獄について触れていきましょう。これまで我々は、シマノやスラムといった共通規格の恩恵に預かり、互換性に悩みつつもなんとかパーツを組み合わせてきました。しかし、Apple様がそんな甘っちょろい世界を許すはずがありません。

彼らにとって、既存の工具で回せるボルトや、どこでも手に入るチェーンなどは、デザインの純粋さを汚すノイズに過ぎないのです。iBikeに採用されるのは、おそらく星型でもヘックスでもない、特製のリンゴ型ボルト。これを回すためには、Appleが認定した公式サービスプロバイダーに、目が飛び出るような工賃を支払って予約を入れる必要があります。

さらに恐ろしいのは、通信プロトコルです。ANT+やBluetoothといった汎用規格は当然のように非対応。心拍計もパワーメーターも、すべてがApple純正のチップを搭載したものでなければ、iBikeはまともに変速すらしてくれないかもしれません。純正のライトを使わなければ画面に不明なパーツという警告が表示され、サードパーティ製のホイールを履かせようものなら、センサーが異常を検知してブレーキを自動ロックする。そんな徹底した囲い込みこそが、彼らの掲げる魔法のユーザー体験なのです。

他社のパーツを一切受け付けないその潔さは、もはや一種の信仰告白と言えるでしょう。週末のライド中にトラブルが起きても、近所の自転車屋の親父さんはお手上げ。ただ静かに、最寄りのApple Storeまで担いで運ぶしかない。その不便さこそが、選ばれし者だけの特権だと悦に浸る信者たちの姿が、今から容易に想像できてしまいます。

驚異の価格設定

フレーム別売り、ペダルは「Pro」モデルのみ付属

驚愕のスペック以上に我々を絶望へと誘うのは、やはりその常軌を逸した価格設定です。これまでの高級ロードバイク界隈でも、フレームセットで100万円という数字は見慣れた光景でしたが、Appleが提案するプライスリストは、もはや別次元のエンターテインメントと言えるでしょう。

発表されたベースモデルの価格は、一見すると既存のハイエンド機と同等に見えます。しかし、そこにはApple特有の恐ろしい注釈が隠されています。まず、基本価格に含まれているのはフレームとフォークのみ。驚くべきことに、ペダルどころかサドルやハンドルすらも別売りオプションなのです。これらを純正で揃えようとすると、軽自動車が余裕で買える金額が、湯水のようにApple Payから吸い上げられていきます。

さらに追い打ちをかけるのが、Proモデル限定という選民思想です。最先端の電動変速や軽量カーボンを享受したければ、標準モデルの2倍近い価格を支払ってProエディションを購入しなければなりません。信者たちは、1グラム数百円という計算すら放棄して、ロゴ入りの専用パーツに盲目的に投資を続けます。

一方でApple信者やロードバイクおぢたちも負けてはいません。普段はコスパにうるさいくせに、リンゴのマークが付いた瞬間、なぜか金銭感覚がバグり始めます。これまで150万円の機材でマウントを取っていた層も、Appleが提示するPro Maxモデルの300万円という価格設定を前に、むしろ新しいステータスを手に入れたと喜んでカードを切るのです。

ペダルが必要なら追加で10万円、専用スタンドが欲しければさらに5万円。そんなふざけた世界観に、怒りよりも先に笑いが込み上げてくることでしょう。しかし、そんな理不尽な搾取に耐えてこそ真のファンであるという、狂信的な空気がこのiBikeには漂っているのです。

Retinaカーボン

軽量化よりも「見た目の解像度」に命を懸けた塗装

性能や軽さを競う既存のメーカーたちをあざ笑うかのように、AppleがぶつけてきたのはRetinaカーボンという名の、全く新しい虚飾でした。彼らに言わせれば、これまでのカーボンフレームは画素数が足りないのだそうです。一体、自転車のフレームのどこに画素が必要なのかは不明ですが、彼らは大真面目にその表面の美しさを解像度という言葉で語り始めました。

世界中のサイクリストが1グラムを削るために血眼になっている中で、Appleはあえて逆行します。驚くべきことに、このRetinaカーボンは、圧倒的な光沢と色の深みを出すために、何層にもわたる特殊なコーティングが施されており、そのせいで他社のフラッグシップモデルよりも確実に重くなっています。しかし、信者たちは満足げに語るのです。この深みのあるスペースグレイを出すためなら、ヒルクライムで数分遅れることなど些細な問題だ、と。

もはやこれは乗り物ではなく、巨大なジュエリーです。峠の頂上で景色を楽しむのではなく、太陽光の下でいかに自分のフレームが美しく反射するかを眺めるための装置。既存のローディーたちが泥にまみれ、傷を勲章だと言い張る横で、iBikeユーザーは専用の極細繊維クロスで指紋を拭き取ることに心血を注ぎます。

塗装が剥げれば即座に美しさが損なわれるため、未舗装路を走るなどもってのほか。舗装された綺麗なアスファルトの上だけを、最新のiPhoneと同じ質感で滑走する。この本末転倒な美学こそが、機能性を犠牲にしてでも所有欲を満たしたい人種に向けた、究極の回答なのです。

AirRideシステム

路面状況をAIが判断し、乗り心地を勝手に最適化

自転車の醍醐味である路面との対話を、AppleはAIによる余計なお節介で見事に沈黙させてくれました。それが、今回搭載されたAirRideシステムです。この機能は、フレーム各所に配置されたセンサーが路面の振動をミリ秒単位で解析し、乗り手の好みを無視して乗り心地を勝手に最適化するという、まさに魔法のような、あるいは悪夢のようなテクノロジーです。

我々チャリカスは、アスファルトのざらつきをタイヤ越しに感じ、路面のギャップをテクニックでいなすことに悦びを感じてきました。しかし、iBikeはそれを許しません。段差に差し掛かればAIが自動でサスペンション機能を調整し、まるで絨毯の上を走っているかのような無機質な感覚へと塗り替えてしまいます。路面からのフィードバックという最も重要な情報を、ノイズキャンセリングのように消し去ってしまうのです。

さらに滑稽なのは、このシステムが常にAppleのクラウドと同期している点です。他のユーザーが走ったデータを元に、最適化されたライド体験を押し付けてくる。つまり、自分の脚で走っているつもりでも、実際にはカリフォルニアのサーバーが計算した平均的な正解の上をなぞらされているに過ぎません。

信者たちは、このダイレクト感の欠如をスムーズなユーザー体験と呼び、テクノロジーの勝利だと称賛します。一方で、自分のスキルでバイクを操りたい古参のサイクリストからすれば、それは運転の楽しさを奪われた自動運転車のようなもの。操作している感覚さえもサブスクリプション化されたかのようなこのシステムは、自分の力で風を切るという自転車の本質を、スタイリッシュに破壊してしまったと言えるでしょう。

修理の壁

AppleCare+未加入ならパンク修理すら純正品交換の恐怖

ロードバイクの楽しみといえば、道端で慣れた手つきでチューブを交換し、トラブルを自力で解決するたくましさにもありました。しかし、iBikeの世界において、そんな野蛮なセルフメンテナンスは規約違反となります。ここで立ちはだかるのが、あまりにも高くて強固な修理の壁です。

もしあなたがAppleCare+に加入せずにパンクをしてしまったら、そこには地獄のような請求書が待っています。彼らの論理では、タイヤはホイールと不可分な統合ユニットであり、パンクしたということは製品の整合性が失われたことを意味します。つまり、パッチを貼って修理するなどという安上がりな解決策は存在せず、ホイールユニットごとのアッセンブリ交換を宣告されるのです。

さらに、独自のセキュリティチップが内蔵されているため、街の親切な自転車屋さんでタイヤを外そうものなら、センサーが改ざんを検知してバイクが起動不能になるかもしれません。結局、私たちは重いバイクを引きずって、清潔感あふれるApple Storeのジーニアスバーへと向かうことになります。

そこで白シャツを着たスタッフから、まるで親の仇でも見るかのような悲しげな目で、最新のiPhoneがもう一台買えるほどの修理代を提示されるのです。信者たちはこの理不尽なコストを、最高の品質を維持するための適正な対価だと自分に言い聞かせ、震える手で決済端末にApple Watchをかざします。

トラブルさえもAppleとの絆を深めるイベントとしてパッケージ化されている。この冷酷かつ完璧なアフターサービス体制こそが、自由を愛するチャリカスたちを、一生逃げられない管理飼育の檻へと閉じ込める最後の鍵なのです。

エコシステムの罠

Garminを排除し、すべてをApple Watchで支配

自転車乗りのコックピットといえば、長年ガーミンやワフーといった専門メーカーが覇権を握ってきました。しかし、Apple様がその牙城を黙って見過ごすはずがありません。iBikeがもたらすエコシステムの罠は、我々が愛用してきた全ての周辺機器をゴミ箱へと追いやる、非情な独裁体制の始まりです。

まず、ハンドル周りにはサイコンを取り付けるための汎用マウントなど存在しません。そこにあるのは、最新のiPhoneかApple Watchを埋め込むための専用の溝だけ。他社のセンサーとの接続は一切遮断され、心拍数からケイデンスまで、すべてをApple製デバイスで完結させることが強要されます。これまで何年もかけて蓄積してきた他社サービスの走行ログなど、彼らにとっては存在しないも同然なのです。

さらに狡猾なのは、Apple Watchとの密接な連携です。Watchを腕に巻いていなければiBikeのスマートロックが解除されず、ただの重い鉄の塊と化す仕様。これにより、ユーザーは寝ている間も、シャワーを浴びている間も、そしてライド中も、常にリンゴの監視下に置かれることになります。

信者たちは、デバイス同士が魔法のように繋がる体験に酔いしれ、ヘルスケアアプリに表示される綺麗なグラフを見て満足げに頷きます。しかし、その裏では、一度足を踏み入れたら二度と他社の機材には戻れない、見えない鎖でがんじがらめにされているのです。

他のブランドに浮気しようものなら、これまでのデータという人質を失う恐怖が襲いかかる。自由な風を感じるための自転車が、皮肉にも世界で最も閉鎖的なデジタル監獄へと変貌を遂げる。これが、Appleが提案する究極のスマートサイクリングの実態なのです。

まとめ

Apple信者は300万円払って「最新の不自由」を買いに行くのか

結局のところ、このiBikeが我々に突きつけているのは、自由の象徴であった自転車を、最も高価でスタイリッシュな管理区域へと作り替えるという壮大なジョークなのかもしれません。

既存のロードバイク乗りたちが、1秒を削るためにストイックに汗を流し、泥臭くパーツを吟味している横で、Apple信者たちは涼しい顔をして300万円の最新モデルを注文します。たとえそれが、他社のパーツを一切受け付けず、パンク一つでホイールごと交換が必要な、不自由の塊であったとしてもです。

彼らにとって重要なのは、時速何キロで走れるかでも、どれだけ遠くへ行けるかでもありません。自分のライフスタイルがいかにリンゴのマークによって美しくパッケージ化されているか、その一点に尽きるのです。最新の不自由を、魔法のような体験というオブラートに包んで提供されれば、喜んで財布の紐を緩めるのが訓練された信者の嗜みなのですから。

おそらく数年後には、バッテリーの持ちが悪くなったという理由で、フレームごと買い替えを促される日が来るのでしょう。それでもチャリカスとApple信者が交差するこの魔境では、その理不尽さこそが、特別な自分を演出するための最高のスパイスになります。

我々は300万円を払って、一体何を手に入れるのでしょうか。それは風を切る喜びではなく、Appleが設計した完璧な檻の中を、最も洗練された姿で周回する権利なのかもしれません。

さあ、皆さんも銀行口座の残高を確認し、次のスペシャルイベントに備えようではありませんか。不自由を愛する準備は、もうできていますよね。

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