ロードバイクの補給食 Q&A:初心者が補給食で知りたがる20の質問

雑記コラム

4記事連続となった補給食関連の話題。今日が最終回となります。僕の趣味にお付き合いいただきありがとうございました。

本日はロードバイクの補給食 Q&Aと題して、僕が初心者の頃に疑問に思っていたことやどうしたらいいんだろう?と悩んでいたことを20個ピックアップし、最新の補給学に基づいた回答をQ&A形式でお届けしたいと思います。

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  1. Q01.走る前(ライド開始1〜2時間前)に食べる補給食にはどんなものが良い?
  2. Q02.走行中の補給として「固形食」「ジェル/ドリンク」のどちらを選べば良い?
  3. Q03.走行中に摂るべき炭水化物量(g/時)はどれくらいが目安?
  4. Q04.補給食をいつ、どれくらいの間隔で摂ったら良い?
  5. Q05.ロングライド時(3時間以上など)は補給食の内容・量をどう変えたら良い?
  6. Q06.補給食の「味のマンネリ化」や「飽き」を防ぐにはどうすれば良い?
  7. Q07.補給食で気を付けるべき「お腹の調子」「胃腸トラブル」の対策は?
  8. Q08.水分・電解質(ナトリウム・カリウムなど)は補給食とどうセットで考えればいい?
  9. Q09.補給食として「家で作れる/手作りできる」選択肢はどんなものがある?
  10. Q10.補給食に「タンパク質」「脂質」はどれくらい含めたら良い?
  11. Q11.走行直後(ライド終了後)にはどんな補給食が適している?
  12. Q12.補給食を選ぶ際、「糖質(炭水化物)」以外に見るべき成分や表示は何?
  13. Q13.補給食を摂るときの「タイミング」や「量」で失敗しがちなパターンは?
  14. Q14.補給食なしで走るとどうなるの?ハンガーノック(ボンキング)って何?
  15. Q15.補給食を使う習慣をつけるための普段のライドや練習ではどうすれば良い?
  16. Q16.気温・湿度・風など環境条件が補給食の選択・量に与える影響は?
  17. Q17.補給食を選ぶとき「味」「消化のしやすさ」「携帯性」のうち何を優先すれば良い?
  18. Q18.市販の補給食(ジェル・バー・ドリンク)と、普通の食材(バナナ・おにぎりなど)はどう使い分けるべき?
  19. Q19.補給食を摂ることは、ライド後の回復や翌日のコンディションにどう影響する?
  20. Q20.補給食の常識として2025年の今、最新研究で見直されているポイントや注意点は?

Q01.走る前(ライド開始1〜2時間前)に食べる補給食にはどんなものが良い?

【回答】
走る前は、低脂肪・低繊維で消化に優しい炭水化物中心の食事が適しています。最新のスポーツ栄養のレビューでは、運動開始の1〜4時間前に、体重1kgあたり1〜4gの炭水化物を摂るとパフォーマンスに良いとされています。おにぎり、白パン、バナナ、パスタなどが典型的で、逆に揚げ物や生野菜のように消化に時間がかかる食品は避けた方が安全です。運動強度が高い場合ほど、より消化しやすい軽食に寄せるのが推奨されています。

Q02.走行中の補給として「固形食」「ジェル/ドリンク」のどちらを選べば良い?

【回答】
走行中は、炭水化物が持久力を維持する鍵となります。例えば、1〜3時間以上の運動では時速30〜60 g程度が目安とされています。ただ国内外のレビューでは、固形食(バー・フルーツ・おにぎり等)とジェル/ドリンク(炭水化物液体・粉末を溶いたもの)の炭水化物補給効果自体には大きな差がないという報告もあります。つまり、どちらを選んでも「適切な量を摂取できる」のであれば性能への影響は似ているということです。

ただし、走行中という環境では「消化しやすさ」「携帯性」「咀嚼・飲み込みの手間」「胃腸への負担」が実用的な選択基準として重要です。ジェル/ドリンクは携帯・摂取が容易で胃腸負担も比較的軽い一方、味の飽きや長時間なら固形食を混ぜることで変化を持たせられるという利点もあります。したがって、初心者の方には「まず携帯・摂取が簡単なジェル/ドリンクを中心に、長時間や頻繁に補給する場面では固形食も併用する」という使い分けが現実的です。

Q03.走行中に摂るべき炭水化物量(g/時)はどれくらいが目安?

【回答】
走行中に摂る炭水化物量の目安は運動時間で変わります。1〜2時間程度なら1時間あたり30〜60g、2.5時間を超えるロングライドでは1時間あたり60〜90gが推奨されています。グルコースとフルクトースを組み合わせた製品なら慣れれば90g近くまで無理なく摂れるケースもありますが、まずは低めの量から試し、胃腸の状態を見ながら徐々に増やす方が安全です。

Q04.補給食をいつ、どれくらいの間隔で摂ったら良い?

【回答】
走行中は「早めに、こまめに」が基本です。最新の持久系栄養ガイドでは、ライド開始から30〜45分以内に最初の補給を入れ、その後は15〜20分ごとに小分けで摂る方法が推奨されています。一度にまとめて食べると吸収が追いつかず胃腸トラブルの原因になりやすいため、必要な炭水化物量を細かく分割して入れる方が血糖も安定しやすく、パフォーマンスを維持しやすいとされています。

Q05.ロングライド時(3時間以上など)は補給食の内容・量をどう変えたら良い?

【回答】
ロングライド(3時間以上)では、走行中の炭水化物量を「1時間あたり60〜90g」を目安に引き上げることが推奨されています。液体(ドリンク)とジェルをベースにしつつ、バーやおにぎりなど固形食も組み合わせると摂取量を維持しやすく、味の飽きも抑えられます。長時間になるほどナトリウムなど電解質の重要性も増すため、スポーツドリンクや電解質タブレットで水分とセットで補給することが勧められています。

Q06.補給食の「味のマンネリ化」や「飽き」を防ぐにはどうすれば良い?

【回答】
長時間のライドでは、同じ味のジェルだけを摂り続けると摂取量が落ちやすいことが報告されています。そのため、甘味と塩味、固形食とジェル/ドリンクなど、味と食感のバリエーションを持たせることが推奨されます。例えば、炭水化物ジェル数種類に加えて、ナトリウムを含むスポーツドリンク、シリアルバーやおにぎり、塩味の効いたスナックを組み合わせると、味覚的なストレスを減らし、必要な炭水化物量を安定して摂り続けやすくなります。

Q07.補給食で気を付けるべき「お腹の調子」「胃腸トラブル」の対策は?

【回答】
最新の持久系スポーツ栄養摂取検証では、胃腸トラブルを防ぐために「高脂肪」「高繊維」「高たんぱく」「果糖のみ高濃度」の摂取を避けることが基本とされています。走行中は消化機能が低下するため、消化しやすい炭水化物(マルトデキストリンやグルコース系)を中心に、必要量をこまめに分割して摂ることが推奨されています。また、脱水は胃腸症状を悪化させる大きな要因のため、水分と電解質補給を並行して行うことが重要です。さらに、本番前でいきなり使用するのではなく、まずは練習で補給量や製品を試したり、ガットトレーニングを行うことが確実な対策として推奨されています。

※ガットトレーニングとは
ガットトレーニングとは、練習中から意識的に補給食や高めの炭水化物量を摂り、胃腸を「運動中の消化吸収」に慣らす方法です。本番での胃腸トラブルを減らし、必要量を無理なく摂取できる状態を作る目的があります。

Q08.水分・電解質(ナトリウム・カリウムなど)は補給食とどうセットで考えればいい?

【回答】
運動中は水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われるため、炭水化物と電解質を同時に補うことが推奨されています。特にナトリウムは「塩分の主要成分」ですが、正確にはナトリウム量(mg)で管理する必要があり、水だけを大量に飲むと血中ナトリウムが薄まるリスクがあります。ロングライドでは、炭水化物入りドリンクに適切なナトリウム量を含ませ、必要に応じて電解質タブレットを追加し、固形補給食と合わせて「燃料+水分+電解質」を一体で設計することが効果的とされています。

Q09.補給食として「家で作れる/手作りできる」選択肢はどんなものがある?

【回答】
近年の持久系スポーツ向けでは、市販品と同じく「炭水化物量とナトリウム量を意識した手作り補給」が推奨されています。代表例は、白米のおにぎり、薄めのジャムサンド、はちみつを塗った食パン、バナナやドライフルーツ、オートミールバーなどです。ドリンクなら水に砂糖+少量の食塩とレモン果汁を加え、簡易スポーツドリンクとして手軽に自宅で作ることができます。いずれも低脂肪・低繊維で消化しやすい配合にすることが前提です。

Q10.補給食に「タンパク質」「脂質」はどれくらい含めたら良い?

【回答】
走行中の補給食は炭水化物が主体でありタンパク質・脂質は少量に抑えるのが一般的です。たとえば、長時間運動中に多くの脂質を摂取すると消化に時間がかかり胃腸トラブルの原因となるという検証結果があります。脂質は「健康維持・ホルモン機能・持久力低強度時のエネルギー源」として重要ですが、高強度持久運動中は炭水化物優先となります。

タンパク質に関しては、運動前後の回復フェーズでは1日あたり体重×1.2〜2.0g程度というガイドラインがありますが、走行中の補給食として「1時間あたり数グラム」といった明確な量は一般的に定められていません。したがって、補給食では「炭水化物を確保しつつ、胃腸負担を少なくするために、脂質・タンパク質含有は控えめにおさえる」ことが実務上の指針と言えます。

Q11.走行直後(ライド終了後)にはどんな補給食が適している?

【回答】
ライド直後は、枯れた筋グリコーゲンを早く回復させるために、消化しやすい炭水化物と適量のタンパク質を同時に摂ることが推奨されています。目安は、炭水化物を体重1kgあたり1.0〜1.2g、タンパク質を20〜30g程度。具体例として、白米のおにぎり+卵やヨーグルト、バナナ+プロテインドリンク、カカオ含有率の低いチョコレート+牛乳などが挙げられます。脂質が多い食品は吸収を遅らせるため避け、できるだけ30〜60分以内に補給することが望ましいとされています。

Q12.補給食を選ぶ際、「糖質(炭水化物)」以外に見るべき成分や表示は何?

【回答】
まず確認すべきはナトリウム量です。汗で失われるため、1本あたりの含有量を把握しておくことが重要です。また、胃腸負担を避けるため、脂質や食物繊維が多すぎないか、タンパク質が過剰でないかも確認します。

カフェイン入りは、レース後半の集中力維持や眠気対策、最後の追い込みに用いられます。ただし刺激に弱い人は避けるべきです。BCAA(ロイシン・イソロイシン・バリンの必須アミノ酸3種類)は長時間の疲労感軽減や筋分解抑制を狙う場合、クエン酸は疲労感軽減や酸味によるリフレッシュ目的で使われますが、どれも“主役は糖質”であり補助的な成分という位置づけです。

それぞれの用途としては、

  • カフェイン:レース終盤、強度が上がる区間、眠気・集中低下時
  • BCAA:ロングライドや連日トレーニングでの疲労軽減目的
  • クエン酸:口の中をリセットしたい時、暑さで食欲が落ちる時

といった場面が代表的です。

成分表は「1本あたり何グラムの糖質と、どの成分がどれだけ入っているか」を基準に見ると、実際の補給計画が立てやすくなります。

Q13.補給食を摂るときの「タイミング」や「量」で失敗しがちなパターンは?

【回答】
よくある失敗は、空腹になってから一度に大量に食べることです。走行中は消化機能が落ちるため、急に多く摂ると吸収が追いつかず、胃の張りや気持ち悪さにつながります。また走り始めて30〜45分の最初の補給を忘れ、エネルギーが足りない状態に入ってしまうケースも多いです。さらに、水だけを飲み続けて炭水化物と電解質が不足するパターンや、補給量を低く見積もりすぎて必要な炭水化物量を満たせないことも典型的な失敗です。「早めに、こまめに、必要量を分割して摂る」ことが基本になります。

Q14.補給食なしで走るとどうなるの?ハンガーノック(ボンキング)って何?

【回答】
補給をせずに長時間走ると、体内の糖質が枯渇し、急激なエネルギー不足に陥ります。これがハンガーノック(ボンキング)と呼ばれる状態で、強烈な疲労感、力が入らない、頭がぼんやりする、めまいがするなどの症状が出ます。これは血糖が維持できなくなることで起こり、走行継続がほぼ不可能になります。安全面でも危険が大きいため、60分を超える運動では早めの炭水化物補給が不可欠です。

Q15.補給食を使う習慣をつけるための普段のライドや練習ではどうすれば良い?

【回答】
まず「60分以上走る日は必ず補給する」と決め、時間でアラームを設定し、20〜30分ごとに少量ずつ摂る練習をします。普段のライドから本番で使うジェルやドリンクを試し、1時間あたり何グラムの炭水化物を摂れたか、胃の具合はどうかを記録していくと、自分に合う量と製品が分かります。強度の高い日・暑い日など条件を変えながら、少しずつ摂取量を増やしていくことが習慣化とガットトレーニングの両方につながります。

Q16.気温・湿度・風など環境条件が補給食の選択・量に与える影響は?

【回答】
夏の時期などでは気温が高く湿度も高くなるため発汗量が増え、水分とナトリウムの喪失が大きくなります。この場合は、普段よりこまめな飲水と、ナトリウムを含むスポーツドリンクを中心にした補給が必要になります。

逆に秋冬など気温が低くかったり風が強い日は喉の渇きを感じにくく、逆に水分摂取が不足しやすいため注意が必要です。どの環境でも、炭水化物量の目安を守りつつ、発汗量に応じてドリンク量と電解質量を調整することが重要です。

Q17.補給食を選ぶとき「味」「消化のしやすさ」「携帯性」のうち何を優先すれば良い?

【回答】
最優先は消化のしやすさです。走行中は胃腸の働きが落ちるため、高脂肪・高繊維なものは避け、自分の胃で問題なく受け付ける補給食を選ぶことが重要です。そのうえで必要な炭水化物量を確保しやすい形かどうか、ツールボトルやポケットに収まりやすいかを確認します。味は摂取量の維持に直結するため軽視はできませんが、「胃腸に合うこと」を前提に、複数フレーバーを用意して飽きを防ぐのがおすすめです。

Q18.市販の補給食(ジェル・バー・ドリンク)と、普通の食材(バナナ・おにぎりなど)はどう使い分けるべき?

【回答】
市販の補給食は、炭水化物量やナトリウム量が把握しやすく、携帯性と即効性に優れるため、レースや高強度区間、補給ポイントが限られる場面に向いています。一方、バナナやおにぎり、パンなどの普通の食材は、コストが低く味のバリエーションも豊富で、ロングライドや強度の低い区間に適しています。現実的には「レースや強度高めの場面は市販品中心、普段のロングライドでは市販品と普通の食材を併用」という使い分けがよさそうです。

Q19.補給食を摂ることは、ライド後の回復や翌日のコンディションにどう影響する?

【回答】
ライド中に必要な炭水化物をきちんと入れておくと、筋グリコーゲンの枯渇や極端な疲労を防ぎ、走行後の回復を早めることにつながります。さらにライド直後に、消化しやすい炭水化物と20〜30g程度のタンパク質を組み合わせて摂ることで、筋グリコーゲンの再合成と筋修復が進み、筋肉痛やだるさが軽くなりやすいとされています。逆に補給が不足すると、回復が遅れ、翌日以降のトレーニング強度や仕事・日常生活のパフォーマンスにも悪影響が出やすくなります。

Q20.補給食の常識として2025年の今、最新研究で見直されているポイントや注意点は?

【回答】
近年は、従来の「1時間あたり30〜60gの炭水化物」という基準から、吸収経路の異なる糖(グルコース・フルクトース)を組み合わせることで、1時間あたり60〜90g前後まで安全に吸収量を高められるという知見が主流になりつつあります。またエネルギーをゆっくり供給するパラチノースのような糖質を事前補給や長時間の安定補給に活用する動きも広がっています。さらに環境条件や胃腸の強さに合わせて糖質の種類・量・水分・電解質を最適化する「個別設計」が重視され、全員に共通の固定的な摂取量ではなく、段階的な慣らしを前提とした補給戦略が重要とされています。

【グルコース(ブドウ糖)・フルクトース(果糖)・パラチノースの違い】

  • グルコース(ブドウ糖)
    小腸からすばやく吸収され、血糖が上がりやすい。
    筋肉と肝臓の両方にグリコーゲンとして蓄えられる。
  • フルクトース(果糖)
    吸収そのものは早いが、代謝の多くが肝臓で行われる。
    筋肉へは直接運ばれず、主に肝グリコーゲンの補充に使われる。
    グルコースと吸収経路が異なるため併用で総吸収量を増やせる。
  • パラチノース(イソマルツロース)
    砂糖由来の糖質で消化・吸収がゆっくりで血糖の上昇が緩やか。
    脂質利用を妨げにくく、長時間の安定したエネルギー供給に向く。
    即効性は高くない。
    レース中の「急なエネルギー補給」より長時間の安定補給や事前摂取に適する。

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