ロードバイクで見かけるエモい瞬間 Vol.003~夫婦、ふたりで~

雑記コラム

ロードバイクで見かけるエモい瞬間。今日はVol.003です。今回は最近見かけた老夫婦のライドの光景「夫婦、ふたりで」をお届けしたいなと思います。

言葉は、なくとも、つながるふたり

夕暮れの多摩川サイクリングロードを流していたとき、ひと組の老夫婦とすれ違った。おそらく60代後半だろう。ふたりとも乗っているのは、やや型の古いクロスバイクか。夕陽に照らされたふたりは、特に会話をするでもなく、目を合わせるでもなく、ただ静かに同じ方向を見つめながら走っていた。前を行く夫、その少し後ろを淡々とついていく妻。

その姿を一瞬見ただけで、ふたりの間に積み重ねられた歳月が、風景のように浮かび上がる。若い頃から一緒に走ってきたのか、最近になって夫婦で再び自転車を始めたのかはわからない。ただ、並んで走るのでもなく、必要以上に気を遣い合うわけでもなく、自然体で距離感を保つふたりの姿に、深い信頼と穏やかな絆を感じた。

わたしもいつか、あんなふうに歳を重ねたいと思う。言葉がなくても伝わる安心感。特別な瞬間を求めなくても、日常の延長に静かな幸せがある関係。その背中を見送ったあと、無性に胸の奥がじんわりと温かくなった。

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