9月に入り各地で秋祭りも始まっていますね。お祭りって始まるまではワクワクするし、当日は楽しいのだけれど、祭りが終わったあとは少しだけ寂しさが残ります。今日はそんな郷愁も感じてしまう祭りの翌朝のライドをエモい瞬間で取り上げたいと。
祭りの、後の、少し寂しい朝
秋の朝、いつもの道へロードバイクを走らせる。空気は少し冷たく、長袖を着るか迷うような季節。住宅街を抜けて市民公園の近くへ入ったところで、普段とは違う景色に気づく。軒先には赤や白の提灯が連なり、電柱には祭りの案内が残っている。道路脇では法被姿の人たちがテントを畳み、屋台の骨組みをトラックへ積み込んでいる。昨日までここで秋祭りが開かれていたのだ。
道の端には撤去を待つカラーコーン。神社の境内にはまだ紅白幕が張られ、消えた提灯が朝の風に揺れている。昨日の夜なら、この場所には大勢の人がいて、屋台から漂う匂いや祭囃子、子どもたちの声で満ちていたはずだ。それが一晩明けただけで、聞こえてくるのはタイヤが路面を転がる音と、片付けをする人たちの声くらい。賑わいが消えた町には、不思議な静けさが残っている。
ロードバイクでゆっくり通り抜けると、その余韻が妙に心に残る。祭りそのものを見たわけではない。それでも飾り付けや屋台の跡を眺めているだけで、昨夜ここにあった時間を想像できる。誰かが笑い、誰かが食べ歩き、久しぶりに会った人同士が言葉を交わした。その痕跡だけが朝の町に残されている。
数時間後には提灯もテントもなくなり、いつもの景色へ戻っているのだろう。だから、この光景を見られる時間は短い。早朝から走るローディーだから偶然出会える、祭りと日常の境目のような時間だ。
そのまま町を抜けると、少しずつ祭りの気配が遠ざかっていく。後ろを振り返れば、片付けの進む商店街が小さくなっている。季節は待ってくれない。祭りが終われば秋はさらに深まり、やがて朝のライドには冬の気配が混じり始める。また来年、この町に提灯が灯る頃もロードバイクで走っていたい。そんなことを思いながらペダルを踏む。祭りのあとの静かな朝には、過ぎていく季節を惜しむようなエモさがある。



コメント