マッチングアプリには、不思議な現象があります。写真のビジュも良いし、悪いことを書いていないはずなのに、なぜか選ばれなくなる。その代表例が「趣味:ロードバイク」です。
健康的で前向きで、本人としては何ひとつ後ろめたくないはずなのに、書いた瞬間から空気が変わります。本記事では、この不可解な現象を題材に、ロードバイク界隈が自覚なく抱えている問題点を、遠慮なく茶化し、容赦なく皮肉っていきます。
マッチングアプリは第一印象がすべて
マッチングアプリは第一印象がすべてです。プロフィールを開いた瞬間の数秒で、相手はあなたの性格も生活も将来性も、ついでに地雷度まで勝手に採点してきます。こちらがどれだけ誠実に生きていようと、筋トレをしようと、仕事を頑張ろうと、その努力はプロフィールの一行に負けます。残酷ですが、ここは恋愛市場という名のスワイプ工場です。
そしてロードバイク界隈は、なぜかこのスワイプ工場に自分から原材料を持ち込むのが得意です。趣味欄に「ロードバイク」と書いた瞬間、爽やかなスポーツマンのつもりが、相手の脳内では「週末は消える人」「天気で機嫌が変わる人」「謎の横文字を急に話し出す人」に変換されます。こちらはただ自転車が好きなだけなのに、なぜか人格までセット販売されるのがロードバイクという趣味の便利なところです。
もちろん本人は無自覚です。健康的で、景色を楽しんで、たまにカフェに寄って、気持ちよく走っているだけです。ところが外から見ると、金がかかりそう、時間を吸われそう、話が長そう、そして何より面倒くさそうに見えます。つまり、第一印象の段階で「付き合ったら大変そうです」と自己紹介しているようなものです。悲しいですが、これがマッチングアプリという現実です。
なぜ「趣味:ロードバイク」は警戒されるのか
なぜ「趣味:ロードバイク」は警戒されるのか。答えは簡単で、ロードバイクが趣味というより、だいたいの場合は生活習慣と思想と宗教みたいな顔をしているからです。相手は趣味欄を見ているだけなのに、勝手にこちらの週末スケジュール、金銭感覚、会話の長さまで想像して身構えます。まだ一言も喋っていないのに、もう面倒な雰囲気だけは完成しています。
まず見た目の時点で損をしています。ロードバイク界隈はなぜか「機能的なので」と言いながら、ピチピチの服で街を走り、なぜか偉そうに見える姿勢で信号待ちをします。本人は真剣なだけなのですが、外から見ると全員が大会帰りに見えるので、初見の人は警戒します。さらに高そうな自転車に乗っていると、相手の脳内では即座に翻訳が始まります。高そう=金がかかる、高そう=価値観が合わないかもしれない、高そう=たぶん話が長い。ここまで勝手に変換されます。すごい機能です。
そして最大の理由は、会話の地雷が多すぎることです。「どれくらい走るんですか?」と聞かれた瞬間に、一般人は距離の話を期待しています。ところがロードバイク界隈は、距離だけで終わる気がありません。獲得標高、平均速度、向かい風、補給、機材、沼、そして最後に「気持ちいいんですよ」で締めます。相手からすると、聞いたのは散歩の話のつもりなのに、突然プレゼンが始まる感覚です。しかも本人は善意なので止まりません。
さらに「週末はだいたい乗ってます」という一文が、恋愛においては静かな破壊力を持ちます。こちらは健康的アピールのつもりでも、相手の脳内では「週末は消えます」「天気で予定が変わります」「デートより自転車を優先します」と変換されます。要するに、付き合う前から放置予告をしているように見えてしまうのです。
マチアプにおける趣味欄の残酷な役割
マッチングアプリにおける趣味欄は、自己表現の場ではありません。ここは「私はこんなに素敵です」と語る場所ではなく、「私は面倒ではありません」と弁明する場所です。プロフィールという名の一次審査で、相手はあなたの趣味から人柄を想像するのではなく、地雷かどうかを判定しています。共感を取りに行く欄だと思って正直に書くと、普通に落ちます。残酷ですが、趣味欄とは減点回避ゲームのステージ1です。
そもそも相手は、あなたの趣味に興味があるわけではありません。興味があるのは、あなたと付き合ったら自分の生活がどうなるかです。休日は空くのか、金銭感覚はまともか、会話は通じるのか、そして何より、面倒なこだわりが暴発しないか。このあたりを、趣味の単語から雑に推測してきます。ここで「ロードバイク」と書いた瞬間、推測が始まります。結果として、あなたはまだ何もしていないのに、すでに何かやらかした人として扱われます。
ロードバイク界隈はここで自爆しがちです。趣味欄を「好きなもの発表会」だと勘違いして、堂々と「ロードバイク」と書きます。本人の意図は爽やかです。健康的です。趣味としては完璧です。ところが相手の脳内では即時変換されます。週末が潰れる人、雨で機嫌が変わる人、機材に金を注ぎ込む人、そして聞いてもいないのに専門用語を投げてくる人。たった四文字でここまで勝手に設定を盛られる趣味も珍しいです。もはや趣味欄というより、デバフ付与欄です。
しかも趣味欄は、誤解を解くチャンスがほぼありません。メッセージで丁寧に説明する前に、スワイプで消されます。面接で言えば履歴書で落とされる状態です。「実はライトに楽しんでいるだけです」とか、「週末全部は乗りません」とか、そういう弁解をする権利すら与えられません。ロードバイク界隈はこの仕組みを理解せずに、正直に書いて真顔で詰みます。真面目で素直で努力家ほど不利になるのが、マッチングアプリの美しい仕組みです。
結局、趣味欄の役割は夢を語ることではなく、警戒されないことです。そこでロードバイクを名乗るのは、初手で敵に情報を与えているようなものです。勝ちたいなら隠せ、語りたいなら聞かれてからにしろ、という話になります。たぶんこれが正解です。
ロードバイク勢が無意識に踏み抜く地雷
ロードバイク勢が無意識に踏み抜く地雷は、だいたい自分の口から始まります。本人は普通に会話しているつもりなのに、相手からすると「何かが始まったぞ」という不穏な空気が立ち上がります。ロードバイクは趣味ですが、ロードバイク勢の会話は趣味の範囲を軽く超えてきます。相手は雑談を求めているのに、こちらはなぜかプレゼンのスイッチが入ります。
まず危険なのが、「どれくらい走るんですか?」という軽い質問です。相手は散歩の距離感で聞いています。ところがロードバイク勢は、ここを自己紹介の見せ場だと思いがちです。つい「普段は100キロくらいで、たまに200とかです」と言い、さらに「獲得標高はこれくらいで、向かい風がきつい日は平均が落ちて」などと余計な補足を入れます。相手の脳内では、もうその時点で週末が消滅しています。あなたの週末だけでなく、相手の週末も巻き添えで消えます。
次の地雷は、金と時間の匂いを漂わせることです。「最近パーツ変えて」とか「ホイールを」とか、言った瞬間に終わります。ロードバイク勢にとっては日常会話でも、一般人にとっては突然の高額請求書の予告編です。しかも悪気がありません。むしろ楽しそうです。楽しい顔で沼の入口を案内してきます。相手は恋愛をしているつもりなのに、気づいたら分割払いの未来を想像させられています。
さらに強烈なのが、「週末はだいたい乗ってます」です。本人は健康的アピールのつもりですが、相手には「土日は予定が埋まっています」「天気で全部変わります」「会えません」と聞こえます。たまに「早朝だけなんで大丈夫です」と追い打ちをかけますが、これがさらに危険です。早朝に出ていくという情報が追加され、相手の脳内ではあなたは静かに消えるタイプの生物になります。恋人ではなく、週末にだけ現れる野生動物です。
そして致命傷になりやすいのが、専門用語と謎の数値です。FTP、ケイデンス、TSS、機材重量、リムハイト。こういう単語を自然に混ぜてきます。本人は賢く見せたいわけではなく、普通に話しているだけです。そこが一番怖いところです。相手からすると、会話の途中で突然別の言語が始まります。しかもこちらは優しさのつもりで説明を続けます。説明が長い、説明が熱い、説明が止まらない。相手は理解ではなく、ただ帰りたいだけです。
結局、ロードバイク勢が踏み抜く地雷は、ストイックさと熱量と情報量の過剰摂取です。相手は軽く楽しめる趣味を想像しているのに、こちらは人生の一部として語り始めます。恋愛の入口で、いきなり坂道の話をする人が勝てるわけがありません。自転車が悪いのではなく、こちらの自制心が弱いだけです。たぶんそれが一番の地雷です。
ロードバイクは趣味ではなく人格に見えてしまう問題
ロードバイクが厄介なのは、ただの趣味として扱われにくいところです。釣りや映画鑑賞のように「へえ、いいですね」で終わりません。なぜか「その人の人格」まで一緒に背負って登場します。趣味欄にロードバイクと書いただけで、相手の脳内ではあなたは努力家で、ストイックで、意識が高くて、ついでに面倒くさい人として完成します。まだ会ってもいないのに、もう性格診断が終わっています。
ロードバイク界隈は、趣味を趣味として説明するのが苦手です。なぜか哲学が始まります。「風を感じるんですよ」とか「自分と向き合えるんです」とか、そういう方向に寄っていきます。気持ちは分かりますが、相手からすると急にポエムが始まったように見えます。好きなものを語っているだけなのに、人生観まで語り出す危険な趣味に見えてしまうのです。マッチングアプリで求められているのは軽い雑談なのに、こちらは勝手に自己鍛錬の話を混ぜてきます。重いです。
さらに、ロードバイクは生活に食い込みます。休日の予定、天気予報、体調管理、食事、睡眠、そして財布の中身まで巻き込みます。これが外から見ると「趣味というよりライフスタイルです」という雰囲気になります。ライフスタイル系は格好良く聞こえるかもしれませんが、恋愛の文脈ではだいたい警戒されます。相手は恋人を探しているのであって、修行僧を探しているわけではありません。
しかもロードバイク界隈は、意識していなくても“格”がにじみます。機材の話をしていないのに、ブランド名が出ます。値段を言っていないのに、高そうな空気が出ます。自慢しているつもりはなくても、結局「こだわりが強い人」に見えます。こだわりが強い人は面倒だと思われがちです。さらに悪いことに、その疑いは大体当たっています。
結果として、ロードバイクは趣味ではなく人格に見えてしまいます。好きなものを正直に書いただけなのに、相手からすると「この人、休日も会話も自転車に侵食されそうです」という予告に見えます。ロードバイク自体は素晴らしいのに、ロードバイク界隈が放つ雰囲気がだいたい重装備すぎるのです。軽快なのは車体だけで、人間はなぜかフルアーマーです。
それでも正直に書いてしまうワケ
それでも正直に書いてしまうワケは、だいたいシンプルです。隠せないからです。ロードバイクは高いです。時間もかかります。努力も必要です。そして何より、本人にとっては人生の中でかなりの比重を占めています。ここまで注ぎ込んだものを、なかったことにするのは無理があります。むしろ書かない方が嘘をついている気分になります。結果、正直に書きます。そして詰みます。
ロードバイク界隈は、努力と継続を美徳として刷り込まれています。きつい坂を登った、早朝に起きた、雨でも走った。その積み重ねが正義です。だからプロフィールでも、どこかでそれを認めてほしくなります。趣味欄にロードバイクと書くのは、「自分はこれだけやってきました」という無言の自己評価提出でもあります。マチアプでそんなものを出していいかどうかは、誰も教えてくれません。
さらに厄介なのが、高い金を払ったものほど人は語りたくなるという事実です。ロードバイクは安くありません。むしろ高いです。意味が分からないくらい高いです。ここまで金を使っておいて、「特に趣味はありません」と書くのは精神的に耐えられません。元を取ろうとしているわけではありませんが、どこかで価値を証明したくなります。その結果、趣味欄に正直に書きます。相手の事情はあまり考えていません。
あと正直に言うと、仲間を探している節もあります。どこかで「分かってくれる人」に出会えるかもしれないという淡い期待です。ロードバイクと書いておけば、理解者だけが残るはずだ、という発想です。これは理論上は正しいですが、実際には母数が壊滅的に減ります。宝くじ方式です。外れ続けても、なぜか買い続けてしまいます。
そして最後はプライドです。ロードバイクをやっている自分を、ちょっと誇りに思っています。これは悪いことではありません。むしろ健全です。ただ、その誇りをマッチングアプリという戦場にそのまま持ち込むと、武器ではなく的になります。正直者でいたい気持ちと、勝ちたい現実が噛み合っていません。それでも書いてしまうのは、ロードバイク界隈がだいたい真面目で、不器用で、空気を読む前に正論を出してしまう生き物だからです。
結局、正直に書いてしまうワケは、ロードバイクが好きすぎるからです。それ以上でも以下でもありません。ただし、その純度の高さが、恋愛市場ではだいたい裏目に出ます。ここまで来ると、もはや趣味ではなく業です。
ローディーは趣味欄をどう書くのが正解なのか?
では、どう書くのが正解なのか。結論から言えば、正直に全部書くことではありません。マッチングアプリのプロフィールは告白文でも自伝でもなく、あくまで第一関門を通過するための書類です。ここで大事なのは自分らしさより、生存率です。ロードバイク界隈はこの前提をだいたい忘れがちです。
まず一番安全なのは、ロードバイクを単独で書かないことです。趣味欄にぽつんと「ロードバイク」と置くと、それだけで修行僧感が完成します。どうしても触れたいなら、散歩、カフェ、写真、旅行など、柔らかい単語と一緒に混ぜます。ロードバイク単体は濃縮原液なので、必ず水で割ります。原液のまま出すと、だいたいむせます。
次に重要なのは、温度感を下げることです。ガチでやっているほど、あえて軽く書きます。週末すべてを捧げていても、「たまに乗るくらいです」と書きます。これは嘘ではありません。相手に安心してもらうための翻訳です。ロードバイク界隈はこの翻訳作業を怠りがちで、結果として自爆します。
そもそも、書かないという選択肢もあります。ロードバイクは初手で出す情報ではありません。会話が始まって、相手が安心してから出す話題です。聞かれてから話せばいいのです。その時点で相手が興味を示さなければ、深掘りしなければいいだけです。なぜかロードバイク界隈は、聞かれてもいない段階で全部出そうとします。
そして一番大事なのは、語らない勇気です。話せることと、話していいことは違います。距離も標高も機材も、恋愛の序盤ではただのノイズです。相手はあなたの脚力ではなく、人として会話ができるかを見ています。ここを勘違いすると、また同じ失敗を繰り返します。
正解は、隠すことでも偽ることでもありません。出し方を間違えないことです。ロードバイクは後半に効いてくるカードです。序盤で切ると嫌われ、終盤で切ると刺さる可能性があります。皮肉ですが、ロードバイクを本当に活かしたいなら、最初は黙っていた方がうまくいきます。
まとめ|マチアプにおいてロードバイクは諸刃の剣
まとめとして、マッチングアプリにおいてロードバイクは諸刃の剣です。刺さる相手には深く刺さりますが、刺さらない相手にはただの刃物です。しかも持ち手がこちら側にないタイプの刃物です。趣味欄に「ロードバイク」と書いた瞬間、爽やかさではなく警戒心を生み、健康的アピールではなく面倒くささを予告します。自分では武器のつもりなのに、相手から見ると注意喚起のラベルに見えてしまうのが、この趣味の怖いところです。
ただし、これで終わりではありません。ロードバイクが刺さる人も確かにいます。理解がある人、同じ趣味の人、あるいは単純に変わった人です。そういう相手と出会えたとき、話題は尽きず、休日の過ごし方も一致し、価値観が噛み合う可能性があります。問題はそこに至るまでの道のりが、だいたい長いことです。刺さらない多数に避けられながら、刺さる少数を探し続ける必要があります。効率は良くありませんが、ある意味では合理的です。フィルターとしては優秀すぎます。
結局のところ、マチアプでのロードバイクは、趣味の表明というより取扱説明書です。週末は天気に左右されるかもしれない、会話がたまに長くなるかもしれない、機材に情熱を注ぐかもしれない。そういう要素が一瞬で伝わってしまいます。ロードバイク界隈はそれを「魅力」と呼びますが、恋愛市場では「警戒ポイント」と呼ばれがちです。悲しいですが、だいたいそうです。
だからこそ、書くなら出し方を選ぶべきです。正直に書くなら、温度感を下げる。書かないなら、聞かれてから出す。いずれにしても、ロードバイクを初手で振り回すのは危険です。
恋愛もロードバイクも、踏み込みすぎると嫌われます。
空気を読めないと、どちらも簡単に詰みます。



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