脚はすぐタレるほどよわく、考えは石のようにかたく、なのに気づけば毎週しぶとく走り続けている──それがロードバイクぢぢぃである。
※英名:Road Bike Zizy(RBZ)
高齢化が進むロードバイク界隈。
ロードバイクぢぢぃの年齢層は60代後半から80歳前後。クロモリとリムブレーキを頑なに信じ、コンポは7700系で時が止まったまま。サイコンに求めるのは最新機能ではなく「数字が大きく見えること」、補給より大事なのは常備薬。若いローディーに話しかけたいのに言葉が出ず、結局黙って並走する姿はどこか切なくも笑える。だが週末になると必ず現れ、仲間と「今日は誰が来るかな」と生存確認を繰り返しながらペダルを回す姿には、茶化しつつも思わず敬意を抱いてしまう。
業界の生き字引、ロードバイクぢぢぃとは?
ロードバイクぢぢぃとは、60代後半から80歳前後の高齢ローディーを茶化した呼び名である。速さや最新機材にこだわる若手とは対照的に、彼らの関心事は健康維持と安全、そして仲間とのつながりだ。クロモリやリムブレーキといった“昔の正解”を今も大切にし、当時の栄光を背負ったまま界隈を走り続ける姿は、まさに生きた資料集。週末に現れては仲間と顔を合わせるその存在感は、ロードバイク界の年輪そのものといえる。
よわい・かたい・しぶといの三拍子で見るロードバイクぢぢぃの特徴
ロードバイクぢぢぃを一言で表すなら「よわい・かたい・しぶとい」の三拍子に尽きる。脚力や心肺は衰え、若者に置き去りにされるほどよわい。それでも昔からの価値観や機材へのこだわりはかたく、リムブレーキやクロモリを今も頑なに守り続ける。そして何より、千切れてもゴールに必ず現れるしぶとさこそ最大の特徴だ。
茶化す対象でありながら、界隈で誰よりも長く自転車と付き合い続けている姿には妙な説得力がある。
特徴①よわい:身体も脚も弱いが存在感は強い
ロードバイクぢぢぃの「よわさ」は、まず身体と脚に現れる。かつては100kmも余裕だった太腿も細り、登坂ではすぐ脚が売り切れ、心拍は上がりっぱなし。関節は痛みやすく、休憩中には湿布やサポーターが手放せない。平地巡航も若手の列車にはとてもついていけず、走力はもはや初級ローディーレベルだ。
しかし、そうした衰えにもかかわらず、毎週のように姿を見せ、マイペースで走り続ける。その“弱さを抱えたまま走る姿”こそ界隈に強烈な存在感を放ち、「今日もぢぢぃは元気だ」と話題になるのである。
特徴②かたい:考えも身体もガッチガチ
ロードバイクぢぢぃを語るうえで外せないのが、その「かたさ」である。考え方は昭和・平成初期のまま時が止まり、最新のディスクブレーキや電動変速には一切なびかない。愛用するのはクロモリとリムブレーキ、そして段数が一桁台のコンポ。若者が勧めても「そんなもの要らん」で一蹴だ。
身体のほうも関節が硬く、ストレッチ不足のまま乗る姿勢は石像のよう。フォームの柔軟性や空力などどこ吹く風で、「昔からこれで走ってきた」が口癖。頑固さゆえに笑われつつも、その姿勢には一本筋の通った迫力がある。
特徴③しぶとい:絶対に消えない生命力
ロードバイクぢぢぃの「しぶとさ」は、単なる根性論ではなく生活習慣としての強みだ。年齢を重ねても自転車に乗り続けることで、自然に脚を回し、心肺を動かし、血流を整える。無理な全力走ではなく、毎週の適度なライドこそが健康維持となり、結果的に命のしぶとさにつながっているのである。
仲間が減っても、本人は元気にペダルを回し続ける姿を見せる。ロードバイクに乗ることそのものが“延命装置”となり、界隈の誰よりもしぶとく生き残る力を与えているのだ。
まるで生き様!ロードバイクぢぢぃ10のあるある
あるある1.目的が健康維持「気になるのは速さより血圧」
ロードバイクぢぢぃにとって、ライドの最大の目的は健康維持だ。若い頃のようにスピードや記録を追い求めるのではなく「血圧が安定しているか」「医者に運動しろと言われているから続けているか」が行動原理になる。
サイコンの数値よりも、むしろ血圧手帳の記録を気にしているのが実態だ。周囲から見れば走りは遅くても、本人にとっては“自転車=薬代わり”。爽快感や達成感よりも、1日でも長く元気に生きるための手段としてロードバイクが存在しているのである。
あるある2.フレームはクロモリ信仰「カーボン?アルミ?いらん!」
ロードバイクぢぢぃの愛車といえば、やはりクロモリフレームだ。多少重くても、しなやかな乗り心地と長年の相棒としての安心感は手放せない。アルミは「硬すぎて腰に悪い」、カーボンは「割れたら終わり」と一蹴。最新素材の軽さや剛性よりも、“慣れ親しんだ鉄”に信頼を置くのがぢぢぃ流だ。
メンテナンス性も高く、錆さえ気をつければ半永久的に使えるという実感がある。結果として、クロモリに跨り続ける姿は頑固そのものだが、そのこだわりには経験からくる説得力も漂う。
あるある3.ディスクブレーキ否定マン「リムのが軽いしカッコいい」
ロードバイクぢぢぃにとって、ディスクブレーキは敵である。重い、整備が複雑、そもそも自分でいじれない──理由はいくつも並ぶが、結論は常に「リムで十分」。雨の日の制動力や最新トレンドを持ち出されても、「軽さとシンプルさこそ正義」と譲らない。
加えて「見た目もリムの方がスマートでカッコいい」という美意識まで持ち出す徹底ぶりだ。界隈ではすでにディスク全盛でも、クロモリ+リムブレーキで走る姿には、頑固さと同時に一本筋の通ったこだわりを感じさせる。
あるある4.命が惜しいので交通ルール死守「一時停止は絶対」
ロードバイクぢぢぃの合言葉は「いのち大事に」。無茶なスプリントや赤信号無視など論外であり、危ない走りは自分から遠ざける。特に一時停止は絶対で、後ろに若手が並んでいてもきっちり止まるのが習慣だ。速度よりも安全、タイムよりも寿命を優先するその姿勢は徹底している。彼らにとってロードバイクは競技の道具ではなく、健康を守るための運動器具であり、下手をすれば命を奪いかねないリスク要因でもある。
だからこそ「交通ルール順守」は最優先課題であり、界隈でもっとも慎重な走りを見せるのがぢぢぃなのである。
あるある5.サイコンは文字デカ優先「小さい字は読めん」
ロードバイクぢぢぃにとって、サイコンに求める条件は最新機能でもGPS精度でもない。最重要なのは「数字が大きく見えること」だ。老眼が進み、小さな表示では速度も距離も認識できない。したがって最新の多機能モデルより、画面が広く文字が太いシンプル機種のほうが重宝される。
高度なトレーニングデータには関心が薄く、「見えんものは意味がない」が口癖。速さよりも健康維持の継続が目的だからこそ、サイコンは“計測器”ではなく“視認器”として選ばれるのである。
あるある6.ライド=生存確認会「今日もあの人来たかな」
ロードバイクぢぢぃにとって、ライドは単なる運動ではなく“生存確認”の場でもある。同年代の仲間が次第に減っていく中で、集合場所に顔を出すこと自体が「まだ元気だ」のサインになるのだ。
「今日は誰が来るかな」が最大の関心事で、もし欠席が続けばすぐに電話や噂で安否が飛び交う。走行距離や平均速度よりも、仲間と顔を合わせることが最優先。ロードバイクが健康維持と同時に人間関係の接着剤となり、ぢぢぃたちの生活リズムを支えているのである。
あるある7.若者に話しかけられず空気化「でも話したい」
やはりロードバイクぢぢぃも人の子、若いローディーに興味津々だ。最新機材やトレーニング方法を実際どう感じているのか、本当は聞いてみたい。しかし声をかけようとすると「迷惑がられるのでは」と尻込みしてしまい、結局ただ隣を黙って走るだけ。
結果として空気のように存在感が薄れるが、内心では「話しかけてくれたら嬉しいのに」と思っている。世代間ギャップが生む距離感は埋まらないが、その奥には交流を求める気持ちが隠れており、茶化しながらもどこか切なさを感じさせる。
あるある8.DURA-ACE 7700系が現役「段数は一桁で十分」
ロードバイクぢぢぃの愛車には、いまだにシマノDURA-ACE 7700系が鎮座していることが少なくない。世間が11速、12速、13速へと移り変わっても、「9速あれば十分」「むしろチェーンも頑丈」と言い張るのがぢぢぃ流だ。
シルバーの輝きと当時の精度を信じ、「最新の電動変速なんて故障したら終わり」と一蹴。時代に取り残されているようで、実際には長年の実績に裏打ちされた安心感を武器にしている。結果、段数は少なくても、界隈では逆に強烈なアイデンティティを放っているのがこの7700系現役スタイルだ。
あるある9.持参するのは補給食より薬「降圧剤は忘れん」
ロードバイクぢぢぃのサドルバッグに入っているのは、エナジージェルでもプロテインバーでもなく常備薬だ。高血圧の降圧剤や糖尿病の薬、さらには整腸剤まで携帯していることもある。走りの途中で補給を忘れても何とかなるが、薬だけは「命に直結する」と絶対に忘れない。
仲間との休憩中に「そろそろ薬の時間だ」とポーチを開く姿は、若手には新鮮な光景だろう。補給食より薬を優先するそのスタイルは、ロードバイクが単なる趣味ではなく、健康維持の延命装置であることを如実に示している。
あるある10.ジャージだけはやたら派手「派手=安全説」
ロードバイクぢぢぃのファッションで目を引くのは、その派手すぎるジャージだ。普段は地味で控えめな生活を送っているのに、いざ自転車に跨がるとワールドチームのレプリカや蛍光色のド派手デザインを好んで着用する。
理由を尋ねれば「車から見えた方が安全だから」と真顔で答えるが、どこか目立ちたい気持ちも隠れていない。派手な色合いにクロモリの渋いフレームというミスマッチは界隈の風物詩。結局それもまた“しぶとく生き抜く”ための工夫であり、茶化しながらも納得してしまう説得力がある。
まとめ|よわい・かたい・しぶとい=ロードバイクぢぢぃの魅力
ロードバイクぢぢぃは、速さや機材ではとっくに若者に置き去りにされている。それでも界隈で語り草になるのは、脚がよわくても走り続ける姿、考えがかたくても譲らない信念、そして何より生存力のしぶとさだ。
クロモリやリムブレーキに固執する様子は笑いを誘い、薬を持ち歩きつつ週末に現れる姿は「また来てる」と安心させる。彼らの存在は、単なる茶化しのネタであると同時に「年齢を重ねてもロードバイクを続けられる」ことの証明でもある。
結局、ぢぢぃはロードバイク界隈における生き字引であり、よわくて、かたくて、しぶといこと自体が唯一無二の魅力なのである。
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