初めてロードバイクを買うとき、多くの人が「価格」や「コスパ」や「ブランド」で選びがちです。けれど実際に購入したローディーの多くが後になって口をそろえて言うのが「見た目が気に入ったバイクを選べばよかった」という後悔です。
どれだけ性能が高くても、コスパが良くても、名の知れたブランドでも、デザインが気に入らなければ結局は乗らなくなってしまう──それがロードバイクという趣味の現実です。
そこで本記事では、シリーズ第1弾「デザイン編」として、ダサいロードバイクを避けるための5つのポイントを解説します。続く「機材・アイテム編」「メーカー・ブランド編」では、パーツ構成やブランド選びのコツも紹介し、トータルで後悔しない一台を選ぶための基準をお伝えします。
ロードバイク選びに正解はありませんが、初めての時は「見た目を妥協しない」が唯一の共通ルール。あなたも買ってから後悔しないため「ロードバイクのデザインの見極め方」を学んでいきましょう。
なお、こちらのダサいロードバイクとは?番外編にも、入れるかどうか迷ったもの、少数ながらダサいと思われてしまっているものを取り上げているので、良かったら参考ください。
ロードバイクは見た目が命
デザインはロードバイクを選ぶ上で最重要項目のひとつ。
究極的に言えばデザインは色と形で見た目の良し悪しが決まる。
ロードバイクは、性能以上に“見た目の印象”で評価が分かれる乗り物です。走行性能や軽さはもちろん重要ですが、街中で見かけたとき、第一印象で「格好いい」と感じさせるかどうかが大きな差になります。どれほど高性能でも、カラーリングやロゴデザインのバランスが悪ければ、見る人にとっては“ダサいロードバイク”に映ってしまうのです。
特に初めてロードバイクを購入する際には、「見た目を妥協したら後悔した」という声が非常に多く聞かれます。最初は性能やコスパを重視しても、結局のところ“見た目が気に入らないバイク”は乗る気が起きず、早々に手放してしまうケースが少なくありません。好きなデザインでなければ、メンテナンスやライドそのものへのモチベーションも長続きしないのです。
フレームカラーとロゴの組み合わせ、ブランド固有色の扱い方、時代に合ったデザインの選択は、センスを最も左右するポイントです。ロードバイクはファッションと同じで、流行や全体のトーンを無視すれば一瞬で古臭く見えてしまいます。性能に惹かれて選ぶのも良いですが、見た目の完成度こそが“愛着を持って長く乗れるかどうか”を決める最大の要素なのです。
ダサいロードバイクのデザイン①:フレームとロゴの「色」が両方とも重々しい
フレームとロゴの配色ひとつで印象が良くも悪くもなる
ロードバイクの見た目の印象は基本的に「①フレーム」「②ロゴ」「③ホイール」「④ハンドル・バーテープ」「⑤サドル」「⑥シートポスト」「⑦クランク」の7つの要素で決まります。一部のハイエンドモデルを除き大抵のバイクは③~⑦は後から変更はできますが、①フレームと②ロゴは見た目に最も影響する要素であるにも関わらず高額な費用をかけて再塗装をしない限り、変更はできません。
つまり①フレームと②ロゴの見た目が気に入らなければ、ずっと気に入らないまま乗り続けなければならない状況となるため、何より慎重に選ばなければなりません。
そんなフレームとロゴは、安見えしてしまうダサい代表的な色の組み合わせが存在します。
■ダサく見える代表的なフレーム色とロゴ色の組み合わせ
【ダサい色の組み合わせ①】フレーム赤色×ロゴ黒色

【ダサい色の組み合わせ②】フレーム青色×ロゴ黒色

【ダサい色の組み合わせ③】フレーム黒色(又はグレー)×ロゴ赤色

【ダサい色の組み合わせ④】フレーム黒色(又はグレー)×ロゴ青色

【ダサい色の組み合わせ⑤】フレーム黒色(又はグレー)×ロゴ黄色

これらの色の組み合わせは、速さや軽快さが魅力のロードバイクにおいて見た目的に重々しく感じさせたり、標識のような悪目立ちをさせます。またエントリーモデル帯のカラーリングとしてもよく使用されるので、ブランドが持つ格や品質よりも安っぽく感じさせてしまいます。
このようなデザインにはメーカー側の意図も隠されています。より高額なミドル~ハイエンドモデルを購入させるためにエントリーモデルのカラーリングをあえてダサく・安っぽくデザインするマーケティング戦略は世界的な一流ブランドでも当然のように用いられているのです。
もしあなたが格好良くロードバイクを乗りたいならば、このように重々しさを感じるような組み合わせのカラーリングや、どこか野暮ったさを感じさせるカラーリングは避けた方が良いでしょう。
ダサいロードバイクのデザイン②:Bianchi(ビアンキ)以外のチェレステカラー
ブランドの代名詞的なカラーは、もはやそのブランドの独占色
Bianchi(ビアンキ)と言えば青緑色のチェレステカラー。これはロードバイク界隈はもちろん、もはや世間的にもBianchiの代名詞的なカラーリングとして広く認知されています。
もしこのチェレステカラーのロードバイクをBianchi以外の他ブランドで乗ってしまうと、一気にパチもん臭やルック車臭を漂わせてしまうことになってしまいます。それは名だたる一流ブランド/メーカーであっても避けられないでしょう。
■Bianchi以外のブランドでのチェレステカラー使用例
【PINARELLO】DOGMA F 2026

【SPECIALIZED】ALLEZ グロスラグーンブルー

【TREK】Domane AL 4 Gen 3 Blue Sage

【SPEAR(スペア)】ルック車でのチェレステカラー使用例

ここで挙げた例の中でPINARELLOやSPECIALIZED、TREKは、今年2025年のツールでもステージ優勝を挙げている超一流ブランドです。
SPECIALIZEDもPINARELLOもTREKも、Bianchiよりも格上のブランドであるにも関わらず、チェレステカラーのせいで、どうにもこうにもBianchiのパチもんっぽい印象を醸し出してしまっています。
コラム:Bianchiならチェレステカラーでもダサくない?
結論から言えばフレームがチェレステカラーならダサく、ロゴがチェレステカラーならイケてるように見られがち
Bianchiのロードバイクは日本でも流通量が多いし、チェレステカラーのバイクも定番として数多く走っているので「初めてロードバイクを始めるならチェレステカラーのバイクで。」と考えるのもよく理解できます。
ただロードバイク界隈において初心者がチェレステカラーのBianchiに乗ることは、言うなれば「初めて所有するブランド品がルイ・ヴィトンのモノグラム」という感じのダサさがあることは知っておくべきでしょう。
ここで覚えておきたいのがフレームが単色のチェレステカラーはVIA NIRONE 7やSPRINT、ARIAなど、いわゆる数を売って利益を出すことが目的の安価なエントリーモデルに多く使用されていること。
一方、レースでガチ使用するようなOLTRE/SpecialissimaのPROやRCなどミドル~ハイエンドモデルではフレームではなくロゴがチェレステカラー、又は金属的な光沢ロゴになるのが近年の傾向です。ちなみにBianchiのエントリーモデルのロゴは大体、黒ロゴ、昔のモデルは一部で白ロゴです。
つまりフレームが単色チェレステカラーのBianchiに乗ることは、安めのエントリーモデルでドヤっているビアンキおじさん、いわゆる「おぢンキ」と同レベルに見られてしまう可能性が非常に高いのです。
【ダサいBianchiとイケてるBianchiの見分け方】
| 項目 | ダサいビアンキ (おぢンキ御用達) | イケてるビアンキ (ガチ勢御用達) |
| 見た目例 | ![]() | ![]() |
| フレームの色 | ・チェレステカラー“単色” (Verとして黒/紫など) | ・黒/紫 ・マジョーラ(カメレオンカラー) ・チェレステカラーのグラデーション |
| ロゴの色 | ・黒 (Verとして白やグレー) | ・チェレステカラー ・金属的な光沢 |
| グレード | ・エントリーモデル | ・ミドル~ハイエンドモデル |
| モデル例 | VIA NIRONE 7、SPRINT、ARIA、IMPULSO、INFINITOなど | OLTRE・SpecialissimaのRC/PRO/COMPなど |
| 価格帯 | 15~30万円 | 50~200万円以上 |
| 質感 | 全体的にマットで光沢が乏しい | 高級車のように艶やかで美しい光沢がある |
※上記の早見表は一部のモデルでは例外があります
それでも、もしあなたが「どうしてもチェレステカラーのロードバイクが欲しい!」と考えているなら、他のブランドではなくBianchi一択です。
関連リンク:ロゴがチェレステカラーのBianchi OLTRE RC(ハイエンドモデル)
関連リンク:おぢンキ 〜エントリーモデルでドヤぁ!~
関連リンク:なぜビアンキの自転車はおぢに人気なのか?~おぢンキ現象。ロードバイク界隈に潜むBianchi乗りたち~
ダサいロードバイクのデザイン③:時代遅れのレーシーでシャープな見た目
例えば、10年前に流行っていたメイクをして街を歩けますか?という話
ロードバイクを始めるとき、まずは安価に中古で始めるのもひとつの手です。
もし中古で買ってロードバイクを始めようとしている方がいるなら、いくら名のあるブランド、憧れのメーカーでもレーシーでシャープな見た目のロードバイクは避けるべきでしょう。
ロードバイクにもデザイン的な流行があり、以下のようなレーシーなデザイン、鋭角的なシャープさを取り入れたデザインは10~15年くらい前に流行ったデザインです。
例えるなら「あなたは10年前に流行ったメイクをしたり洋服を着て街を歩けますか?」ということ。きっと恥ずかしくてできないでしょう。ロードバイクも同じなのです。
■時代遅れのレーシーでシャープなデザイン例
【PINARELLO】FP1

【CANNONDALE】SUPERSIX EVO(2015年モデル)

【COLNAGO】CLX

上記で挙げたバイクは当時なら流行の先端をゆくデザイン・性能をした良いバイクでしたが、いま乗るとオールディーズ(懐古主義)を通り越し、流行遅れのダサいローディーに見えてしまいます。
また30歳以上のおじさん(ロードバイクおぢ)が乗っている場合、軽でも100万円以上が当たり前となりつつある自家用車を所有する一般的な社会人からすると、5~6年に一度、たかが数十万円程度のチャリの現行モデルすら買い換えられない「稼ぐ能力が無い人」と見下されかねません。
何より(アルミバイクもそうですが)10年以上前のカーボンモデルは安全性にも不安が大きく残ります。
もしあなたが中古でロードバイクを始めるならば、少なくとも2020年以降に販売・製造されたロードバイクを購入すべきです。2020年以降のモデルなら大半のブランドが有彩色から無彩色に続くグラデーションのデザインか、現行モデルに近しいシンプルでミニマルなデザインをしています。
コラム:中古でロードバイクを買うときはロゴのデザインにも目を配ろう
ダサいロードバイク/イケてるロードバイクを見極める上でロゴマーク・ロゴタイプのデザイン性は非常に重要な要素となります。
後述するダサいロードバイクのデザイン⑤でも触れますが、ロードバイクブランド/メーカーはしばしばロゴのデザインを変更します。そして中古モデルの中には「なんで当時そのロゴ採用したの?」と言いたくなるような、今となっては古臭いデザインのロゴが使用されているモデルも少なくありません。
そんなロゴデザインの中でも、特にダサいロゴデザインと言われるのが「縁取りデザイン」のロゴです。
縁取りデザインが施されたロゴ例①【FELT】

縁取りデザインが施されたロゴ例②【BOMA】

縁取りデザインが施されたロゴ例【SCOTT】

このような縁取りデザインのロゴは現行モデルと比べるまでもなく一気に“型落ち感”が出てしまい、見た瞬間に「古くない?」「野暮くない?」「ダサくない?」とネタにされがちです。
FELTもBOMAもSCOTTもブランドとしては一定の評価を得ている優れたブランドですし、近年展開されるモデルは普通にロゴも格好良いのですが、如何せんこのロゴデザインのモデルは型落ち感=ダサさが半端ありません。
中古でロードバイクを購入するときは、フレームに施されているロゴデザインの良し悪しや、現行デザインとの比較は必ずするように心がけましょう。
ダサいロードバイクのデザイン④:奇抜過ぎるデザイン
過ぎたるは及ばざるが如し
ロードバイクにもデザインに凝りまくったフレームがあります。それ自体は悪くなく、むしろスポンサー提供でプロがレース使用していることも多いため性能面でも非常に優秀ですが、あまりに奇抜過ぎるデザインはファッションと同じように、乗り手で似合う・似合わないが強く出ます。
以下のようなデザイン性が高すぎるロードバイクは、普段からメイクにもお洒落にも気を遣うローディーが普段着で乗る場合や、たとえE3でもレースで勝利できるくらいの強者オーラを醸し出せるローディーしか基本的に似合いません。
普通のローディーはもちろん、ウザい・クサい・キモいでお馴染みのロードバイクおぢが乗ってしまうと、途端に「バイクだけ頑張っちゃってる感」のようなダサさが出てしまいます。
■オシャレ上級者かガチで強いヤツしか似合わない奇抜なデザイン例
【CHAPTER2】KAHA

【cannondale】SuperSix EVO LAB71 Team

【Cinelli】KING ZYDECO 2

【CANYON】My CANYONカスタマイズ

ダサいロードバイクのデザイン⑤:文字数が多すぎるブランドロゴのバイク
基本的に文字数が多く、長いロゴは格好悪い
2017年から2020年にかけてファッション界の各ブランド、特にハイブランドと呼ばれるラグジュアリーブランドが一斉に「サンセリフ(ゴシック体)化」や「フラットデザイン化」などリブランディングをおこないました。
その流れはロードバイクブランド/メーカーにも訪れ、同時期にイタリア御三家(コルナゴ・ピナレロ・デローザ)を始め複数のブランド/メーカーがロゴのデザインを変更しました。
刷新したロゴを今でもダサいと言って憚らない懐古おぢも少なくありませんが、彼らのことは無視しましょう。懐古おぢの99%は、そもそもセンス自体が壊滅的に悪いですから。いまからロードバイクを始めるならば中古ではなく、現行モデルを購入するのがセオリーでしょう。
そんな各社のブランドロゴですが、あまりに長すぎる、具体的には英語のアルファベットで6文字以上のブランドロゴはフレーム内で収まりが悪くなり、ゴチャついて見える傾向があります。逆にアルファベット6文字以内のブランドロゴは、見た目的にもすっきりと格好よく見える傾向にあります。
■フレーム内でゴチャついて見えるロゴ例
【①Eddy Merckx】

【②Khodaa Bloom】

【③corratec】

上記で挙げた3つのブランドロゴは文字数が非常に多いのでフレーム内で文字間を開くことも叶わず、フレームを見たとき、非常にゴチャゴチャした印象=ダサい印象を与えてしまっています。Eddy Merckxやcorratecはオリジナルの書体を使用したりデザイン性を上げていますが、それでもゴチャついた印象は拭えていません。
Khodaa Bloomはこのゴチャついた印象のほか、ブランド力の弱さやロゴから醸し出される格下感を認識しているようで、2025年のオールロードモデルや一部のクロスバイクのモデルではブランドロゴを小さく配置するデザインを取り入れています。
■フレーム内ですっきり見える6文字以内のロゴ例
【CANYON】

【DE ROSA】

【TREK】

【Wilier】

これらのブランドはアルファベット6文字以内のロゴでフレーム内に配置しても心地よい文字間を得ながらスッキリと収まっています。またそもそもロゴデザイン自体も完成度が高く、バイク全体が格好良く見える大きな要素にもなっています。
■ロゴが6文字以上でも例外的に恰好が良いブランド例
【CHAPTER2】

【ARGON18】

【Cinelli】

これらのブランドはアルファベットで6文字以上ありますが、ロゴそのもののデザイン性が高かったり、ロゴを意図的に小さく配置したり、ロゴ+数字で収まりが良かったりするので、ダサく見えることはありません。
ロゴを意図的に小さく配置するデザインは前述したKhodaa BloomやTREKの一部の現行モデルで取り入れられています。また過去には一時期、cannondaleやSpecialized(S-WORKS含む)も取り入れましたが、この2メーカーでは評判が悪く、販売台数にも影響を及ぼした為、いまでは殆どのモデルで小さく配置するデザインは無くなりました。
まとめ
ロードバイクのデザインには、単なる見た目以上の意味があります。配色やロゴ、フレーム形状のトレンドを理解して選ぶことは、“自分がどう見られたいか”を意識することでもあります。そこに無頓着なまま選んでしまうと、周囲から「ダサい」と見られるだけでなく、自分自身もそのバイクに誇りを持てなくなってしまいます。
ロードバイクは乗り手のセンスを映す鏡のような存在です。ブランドの歴史や色の持つ文脈、時代の空気を理解したうえで選べば、見た目にも説得力のある一台になります。大切なのは高いバイクに乗ることではなく、身も心も心地よく、自分らしく、格好良く見せること。それこそがロードバイクという趣味を心底楽しむための最初の一歩です。
関連リンク:2025年版ロードバイクブランド格付け・Tier表
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