UCI世界選手権2025 男子エリートロードレースは、世界中のロードファンが固唾をのんで見守る一大決戦です。シーズンを締めくくる舞台に、各国の代表選手が集い、ただ一人だけが手にすることを許されるアルカンシェルを懸けて走り抜けました。歴史ある大会の栄光を手にしたのは誰なのか――その結末がいま明らか。勝者はタデイ・ポガチャル(スロベニア)、昨年2024年に続く連覇となりました。
大会概要と開催地
UCI世界選手権2025は、ロードレース史上初めてアフリカ大陸での開催となりました。開催国はルワンダで、首都キガリを中心とする特設コースが舞台です。世界選手権は毎年異なる都市を巡りながら行われますが、今年は「アフリカ初開催」という歴史的な意義が大きく、国際的な注目度も例年以上に高まっています。男子エリートロードレースは大会の最終日に組まれており、シーズンを締めくくる決戦として世界中のロードファンから熱い視線が注がれました。
開催場所と日程
男子エリートロードレースは、ルワンダの首都キガリを舞台に9月28日(日)に実施されました。大会全体は9月21日から28日まで1週間にわたり開催され、個人タイムトライアルやジュニア・U23カテゴリーのレースも同時に組まれています。キガリは「千の丘の国」と呼ばれるルワンダを象徴する都市で、起伏に富んだ地形と高地特有の環境が選手たちを待ち受けました。世界選手権の最終日を飾る男子エリートロードレースは、シリーズ全体の集大成として注目を集めています。
コースプロフィール(距離・高低差・特徴)
男子エリートロードレースのコースは総距離約267.5km、獲得標高はおよそ5,475mに及びます。キガリ市内を周回する設定で、短く急勾配の上りが繰り返されることが大きな特徴です。特に市街地に設けられたフィニッシュ周回は勾配のきつい坂が連続し、脚力だけでなく登坂リズムを崩さない技術も要求されます。平坦区間が少なく、長距離にわたってアップダウンが続くため、純粋なスプリンターには不利で、総合力を備えた選手やパンチャー型のアタッカーに有利なコースレイアウトとなっています。

当日の天候とコンディション
レース当日のキガリ周辺は、日中の気温が20℃前後と比較的過ごしやすい一方、局地的な雨の可能性も残されていました。前日までの予報では、期間中はおおむね18~31℃の幅で推移し、降雨量は20~50mmに達する地域もあるとされており、気候の変動が大きい点が特徴です。さらに風速4~12m/sの風が吹くと予想され、横風区間では隊列の形成や集団走行に影響を与えることも懸念されました。高温、雨、風といった要素が複雑に絡み合うなかで、選手たちは天候への対応力も試される一日となりました。
注目選手とレース前の見どころ
男子エリートロードレースは、シーズン最後に行われる一発勝負の世界選手権という特性から、例年にも増して多様な戦略が交錯する舞台となります。各国代表チームは通常のワールドツアーとは異なり、ナショナルカラーで走るため、普段の所属チームの連携が使えない点も大きな見どころです。長距離と激しいアップダウンを含むキガリのコース、さらに中盤でそびえる最大斜度20%のキガリ山では、総合力と一瞬の判断力が勝敗を左右するとみられ、序盤からの逃げ、終盤でのアタック合戦、さらには予想外の展開が起こる可能性も十分に秘めています。
大本命はポガチャル、対抗はレムコ、それとも第三の選手が勝つか?
男子レースの大本命はツール・ド・フランス覇者のタデイ・ポガチャル(スロベニア)。圧倒的な登坂力と勝負強さで、多くの専門家が筆頭候補に挙げています。対抗とされるのは、先週の男子エリート個人タイムトライアルでポガチャルを抜き去り優勝したレムコ・エヴェネプール(ベルギー)。すでに一冠を手にしている勢いをそのままロードレースに持ち込めるかが焦点です。
ただ、前日の女子エリートロードレースではカナダのマグドレーヌ・ヴァリエールが下馬評を覆して勝利しており、番狂わせの可能性が改めて意識されました。レムコ以外にもアユソ(スペイン)、デルトロ(メキシコ)、ジェイバイン(オーストラリア)、シヴァコフ(フランス)、スケルモース(デンマーク)、チッコーネ(イタリア)、ピドコック(イギリス)など男子エリートでも第三の選手が台頭するシナリオは十分に考えられます。
UCI世界選手権2025 男子エリート ロードレース 結果速報
優勝者はタデイ・ポガチャル(スロベニア)に決定!
UCI世界選手権2025 男子エリートロードレースは、残り約100km地点となるキガリ山でアタックをしかけ、そのままほぼ独走でフィニッシュラインを駆け抜けたタデイ・ポガチャル(スロベニア)が勝者となりました。勝負どころでの加速と持久力が光り、長い独走にも対応できる強さを示した形です。これにより、来季のアルカンシェル着用権が確定。歴史的な大会のクライマックスにふさわしい決着となりました。第2位には個人TT覇者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)、第3位には2025年ツールでの活躍も記憶に新しいEFのベン・ヒーリー(アイルランド)が入りました。上位リザルトおよび公式タイムの詳細は、下記セクションで速報します。
上位10名のリザルトまとめ
順位 | 氏名(国籍) | タイム |
1 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) | 6:21:20 |
2 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー) | +1:28 |
3 | ベン・ヒーリー(アイルランド) | +2:16 |
4 | マティアス・スケルモース(デンマーク) | +2:53 |
5 | トムス・スクインシュ(ラトビア) | +6:41 |
6 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア) | +6:47 |
7 | イサーク・デルトロ(メキシコ) | +6:47 |
8 | フアン・アユソ(スペイン) | +6:47 |
9 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル) | +7:06 |
10 | トーマス・ピドコック(イギリス) | +9:05 |
まとめ
男子エリートロードレースは、タデイ・ポガチャル(スロベニア)が制しました。起伏の連続するキガリの周回で主導権がめまぐるしく入れ替わる中、終盤まで冷静な位置取りと鋭い登坂力、勝負所での決定力を発揮。ナショナルチーム戦ならではの駆け引きを制し、個人タイムトライアル覇者レムコ・エヴェネプールや、次世代のスター最有力候補のファン・アユソ、イサーク・デルトロら強豪を退けての勝利です。
さらに本勝利は、先週の個人TTでタイトルを逃し、“惨敗”との声も上がったパフォーマンスに対する明確なアンサーでもあります。レース全体を通じて脚を温存しつつ要所で加速、最後は自らの強みである登坂と持久力で勝負を決め、悔しさを力へと変えました。アフリカ初開催という歴史的大会の締めくくりにふさわしいフィナーレであり、ポガチャルは来季、アルカンシェルを纏って世界各地のレースに臨むことになります。総合力が問われるコースでの完勝は、クラシックからグランツールまで勝てる稀有な存在であることを改めて示しました。
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