ロードバイクで見かけるエモい瞬間 Vol.019~背中を押す追い風~

雑記コラム

ロードバイクで走っていると、思いがけない瞬間に心がふっと軽くなることがあります。中でも、向かい風に耐え続けたあとに訪れる追い風は、ローディーにとって特別なご褒美のようなものです。ライドの景色を一気に変える予報にはなかった追い風が背中を押したその時が、今日のエモい瞬間です。

風が、後押す、無敵感

出発前に見た天気予報では、今日は一日中向かい風のはずだった。だから最初から覚悟はしていた。河川敷に出た瞬間、空気は重く、ペダルを踏んでも思うように進まない。サイクルコンピューターの速度表示は、努力に見合わない数字を淡々と示している。今日は修行の日だな、と半ば諦めながら前傾姿勢を低くしてペダルを回し続ける。

川沿いのサイクリングロードを、ただひたすら風に耐えながら進む。脚はじわじわと削られ、気持ちも少しずつ静かになっていく。それでも折り返し地点までは行く。そこまでは、なぜかローディーの中で決まっている。

ようやく折り返し地点にたどり着く。コンビニで補給を済ませ、ボトルの水を飲み干し、再びサドルにまたがる。ここからは来た道を戻るだけだ。さっきまで苦しめられていた向かい風は、理屈の上では帰り道では追い風になる。

ゆっくりと走り出す。その瞬間、背中をふっと押されるような感覚があった。脚の力は変わっていないのに、バイクがするすると前へ進む。サイクルコンピューターの速度表示も、さっきとは明らかに違う数字を示している。

顔を少し上げる。風が、完全に味方になっている。しかも予報よりずっと強い追い風だ。疲れているはずの脚なのに、バイクは軽く転がるように進んでいく。

そのとき、ふと思う。「今日はどこまでも行けるかもしれない」。

実際にはどこまでも行けるわけではない。脚にも限界はあるし、帰る時間もある。それでも、向かい風に耐え抜いたあとに訪れるこの追い風は、ローディーにとって特別なご褒美のようなものだ。

予報にはなかった強い追い風。ただの風向きや強さの変化にすぎない。それでも、その風に背中を押された瞬間、今日のライドは少しだけ特別なものになる。そんな瞬間があるからこそ、またローディーは同じ道を走りに来るのだ。

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