日本最高峰のワンデーレース「宇都宮ジャパンカップ」。今年2025年も昨日10/19(日)におこなわれ、バーレーン・ヴィクトリアス所属のレニー・マルティネス(フランス)が第32代目となる今年の覇者となりました。やっぱジャパンカップは面白い!ありがとう、宇都宮!
と、今回はそんな宇都宮ジャパンカップへロードバイク系チャリカスチーム「Team 激坂道ペダル」が走ったらどうなる?という妄想をそのまま記事化してみました。
信号は目安、車道は俺専用、歩道も使う二刀流。そんな日常の暴走スタイルで、果たしてプロの舞台を走りきれるのか?秩序と混沌がぶつかる“地獄の古賀志ステージ”を、笑いと風刺で完全実況します。
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プロローグ:Team 激坂道ペダル、伝説の始まり
2025年、宇都宮ジャパンカップ。海外のトップチームが集う中、突如現れたのが日本のチャリカス系新勢力チーム「Team 激坂道ペダル」だった。登録用紙のチーム欄には「文化系レーシング」と手書き。監督兼代表は“自称ロードバイク思想家”。彼らの理念は「努力・根性・自撮り」。モットーは「登れば登るほど偉い」。
ジャージには「魂」「文化」「軽車両」の文字がプリントされ、その姿はプロというよりも“自己顕示欲の集合体”。サインオンでは順番を無視して割り込み、他チームから「ルール守って」と注意されると「ルール?解釈次第っす」と返す始末。
会場の空気がわずかに冷える中、彼らだけが熱かった。SNSでは早くもタグ「#激坂道ペダル参戦」「#俺らが日本代表」が拡散。
まだレースは始まっていない──だが、すでに一つの伝説が動き出していた。
自称「日本代表」、“文化”を名乗る男たち
Team激坂道ペダルのメンバーは、全員が“自称・日本代表”。彼らいわく「俺たちは市民の声を代弁するチーム」。しかしその根拠は、「車道を走ってる」「環境に優しい」「登ってる俺、尊い」の三本柱。どこからどう見ても、ただのチャリカス的な自己満足である。
チーム代表は「ロードは文化」「俺たちは社会活動の延長として走る」と語り、マイクを握るたびに言葉が長く、内容が薄い。周囲の関係者が苦笑する中、本人は「今日、この古賀志で歴史が動く」と真顔。ゼッケンを受け取るその手は震えていた──緊張ではなく、興奮と勘違いのせいで。
彼らの目には、ジャパンカップがレースではなく“布教活動”の舞台として映っている。こうして「文化系レーシング」を名乗る謎の集団が、世界最高峰の秩序に挑むことになった。
サインオン会場で早くもトラブル
朝のサインオン会場に姿を現したTeam激坂道ペダルは、開始5分で注目をさらった。整列を無視して横入りし、「軽車両は停止義務ないんで」と胸を張る。スタッフが困惑する中、他チームの選手が注意すると「いや、欧州ではこれが普通っす」と謎の海外基準を持ち出して正当化。
すぐ後ろではマルティネスが静かに笑っていた。サインボードに書くコメントも一味違う。「全力で文化を走らせます」「俺の脚が環境を救う」。周囲の失笑にも気づかず、仲間同士で「この写真、インスタ映えするな」と盛り上がる。
カメラに向かって親指を立て、「今日、古賀志が変わる」とドヤ顔を決める彼ら。公式フォトグラファーが撮影を避けたその瞬間から、彼らの伝説は始まっていた。
パレードランから暴走開始:信号は“挑戦状”
宇都宮の街を彩るパレードラン。各チームが穏やかに流れるような隊列を組む中、異彩を放っていたのがTeam激坂道ペダルだった。沿道の観客に手を振るどころか、信号をガン見し、「青が見えたら行くぞ!」と勝手に作戦会議。先導バイクの警官が「まだ安全区間です」と合図しても、「安全は意識の問題っす」と返す。
やがて赤信号の交差点に差し掛かると、「これは俺たちへの挑戦だ!」と叫び、チーム全員が一斉にダンシング。結果、レース開始前から全員注意を受ける前代未聞の事態となった。本人たちは「公道を使う以上、俺たちのルールも通用するはず」と真顔。
観客席からは笑いとざわめきが入り混じり、実況のマイクには困惑の声。「Team激坂道ペダル──信号にすらケンカを売る、混乱の象徴です」。
先導バイクを抜く“覚醒スプリント”
スタート直後の安全区間、各チームが静かに位置取りを整える中、異様な動きを見せたのがTeam激坂道ペダルだった。先導バイクの後方で突然ギアを上げ、「信号、青だったっすよね!?」と叫びながら全開アタック。
観客がどよめき、審判が笛を鳴らす。だが本人たちは「これが日本流のアグレッシブスタートっす」と胸を張る。沿道から「安全走行区間!」と叫ばれても、「俺らの安全は俺らが守る」と意味不明な自己完結。先導バイクの警官が苦笑しつつスロットルを開けると「ちょ、ズルくね!?」と抗議まで始める始末。
結局、先頭から10秒で捕まり、スタッフに「まだ始まってません」と諭されると、「今のはウォーミングアップです」と言い訳。だがすでにその動きは世界中の中継カメラに抜かれており、実況席にはひと言──「新勢力、危険すぎる」。
沿道の声援にウィリーで応答
Team激坂道ペダルのメンバーにとって、レースとは走ることではなく“見られること”だ。沿道から「頑張れー!」と声が飛ぶたび、彼らは瞬時に反応し、「見ててください!」と叫んでウィリーを披露。安全区間の真ん中で片手を離し、ピースサインまで決める。
観客は笑い、スタッフは凍りつく。先導バイクの警官が「ふざけてるのか!」と注意しても、「モチベ上げてただけっす」と返す強心臓ぶり。中にはスマホで動画を撮ろうとして片手操作のままバランスを崩し、危うく転倒しかける者も。レースはまだ始まっていないのに、激坂道ペダルだけはすでにピークを迎えていた。
SNSでは早くも「#ウィリー芸 #文化走法」が拡散。宇都宮の街は、まだこの集団の“本番”がこれからだとは知らなかった。
古賀志1本目:登坂で魂を燃やす。が、遅い。
レースが本格的に動き出す古賀志林道の1本目。プロ勢が軽やかなペダリングで集団を形成する中、Team激坂道ペダルは早くも異世界にいた。「ここからが本番っすよ!」と叫びながら、誰よりも気合いを入れてダンシング──だが速度は時速8キロ。
観客が見守る中、蛇行を繰り返し、後続車両を完全にブロック。実況席には「前方に文化的な交通障害が発生」との声が響く。
仲間同士で「この坂、今日イチ!」と盛り上がる一方、後方の選手たちは冷ややかな視線を送る。途中で立ちゴケしたメンバーが「これも修行」と言い出し、沿道の子どもが素直に拍手。スピードも順位も関係ない、彼らにあるのは“登ってる俺が美しい”という謎の信念だけだった。
マルティネスらが視界の彼方へ消えても、激坂道ペダルは満足げに叫ぶ。「古賀志、今日も俺たちが制した!」──勘違いの坂は、まだ始まったばかりだ。
時速8km/h、“魂の蛇行走法”
Team激坂道ペダルの登坂スタイルは、誰が見ても独創的だった。ペダルを踏むたびに左右へ大きく揺れ、路面をフル活用した蛇行走法。本人たちは「ライン取りの幅が広い方が効率的っす」と誇らしげだが、後続のプロたちにとってはただの障害物である。沿道の観客が「頑張れー!」と声を掛けると、「もう頑張ってるっす!」と逆ギレ。
コーナー手前で立ち止まって写真を撮る者まで現れ、「登ってる自分を残したいんで」と真顔で言い放つ。結果、道路は一時的に通行制限のような状態になり、実況が「古賀志でまさかのスロー文化現象発生」とコメント。
彼らの平均速度は8km/h、だが自意識の熱量だけは時速80km/hを超えていた。
マウントおじの聖地巡礼
古賀志林道を登るTeam激坂道ペダルの面々の中でも、最も声が大きいのが“マウントおじ”。登坂中も息を切らしながら「俺、ここ週4で走ってるから!」と誰も聞いていない自慢を連呼。
隣を走るプロ選手のバイクを見て「それデュラR9200系?まあ悪くないよね」となぜか上から目線。抜かされた瞬間「いや、俺はあえて抑えてるだけ」と苦しい言い訳を残す。
さらに頂上付近では「俺のSTRAVA、ここで区間3位なんすよ」とスマホを取り出し、まさかの確認タイム。周囲が真剣にペダルを踏む中、彼だけは“過去の栄光”で登っていた。息は上がり、脚は止まり、それでも口だけは軽快に回る。古賀志の坂を登る男たちの中で、最も遅く、最も饒舌だったのがこのマウントおじである。
中盤:逃げグループ発生、激坂道は“俺流ローテ”で崩壊
古賀志を越え、レースは本格的な中盤戦へ。プロ勢が静かに連携し、美しいローテーションで逃げを形成する中、Team激坂道ペダルも「俺らも回すぞ!」と叫びながら勢いよく飛び出した。
だが彼らの“ローテ”はなぜか全員が同時に前に出る全力疾走スタイル。「協調って、気合いを見せ合うことっす」と自信満々。数百メートルで隊列は崩壊し、風圧だけで一人転倒。「風が急に来た」と言い訳する姿に、後続のカメラバイクも失笑。さらに補給ゾーンでは、プロ選手の動きを真似て「ボトル投げかっけぇ!」と叫び、観客席にペットボトルを投げ入れて怒号が飛ぶ。
SNSでは「#激坂道ペダル危険走法」がトレンド入り。マルティネスの冷静なペースメイクとは対照的に、彼らは「勢いこそ戦略」と信じて疑わない。やがて実況が一言、「Team激坂道ペダル、協調性ゼロの芸術です」。
回し方を知らず全員同時に前へ
Team激坂道ペダルは、プロチームが見せるローテーションを完全に誤解していた。「順番に回す」が「全員で回る」と脳内変換された結果、掛け声と同時に全員が一斉に前へダンシング。隊列は崩れ、空気抵抗は倍増、見た目だけは迫力満点。本人たちは「これぞ全員攻撃ローテっす!」とドヤ顔だが、後方から見ればただの集団暴走である。
先頭に出た瞬間に全員の脚が終わり、「あれ、誰も回ってこないな」と首を傾げるお粗末さ。さらに無線で指示を受けたわけでもないのに、「次、俺行きます!」と叫び、誰も止まらない混沌が続く。わずか3分でローテーションは完全崩壊し、結果的に集団の空気を掻き回しただけ。実況は静かに総括した──「Team激坂道ペダル、協調の意味をまだ知らない」。
プロ補給の真似で事故
補給ゾーンに差しかかったTeam激坂道ペダルは、プロの動きを観察してテンションが最高潮に達していた。「補給って、あのボトル投げるやつっすよね!」と声を上げ、誰も止める間もなく行動開始。勢いよくボトルを放り投げ、「プロっぽい!」とドヤ顔。
だが軌道は美しくなく、観客席へ一直線──「痛っ!」という悲鳴が響き、ボトル投げ禁止の札が慌てて掲げられた。さらにエネルギージェルをジャージに詰めすぎ、「腹が重い」とぼやく者、「ベトベトする」と嘆く者が続出。
しまいには、補給食を落として拾おうとした瞬間に立ちゴケし、「これも想定内っす」と笑ってごまかす始末。マルティネスが涼しい顔で走り抜ける中、激坂道ペダルの補給ゾーンは、もはや事故現場と化していた。実況が呟く。「Team激坂道ペダル、補給も全力、そして全壊です」。
古賀志2本目:マルティネスが飛ぶ、激坂道が散る
二度目の古賀志ヒルクライム。ここで動いたのがフランスの若きクライマー、レニー・マルティネスだった。冷静なペース管理と鋭いアタックで、一瞬にして集団を引き離す。観客が歓声を上げる中、Team激坂道ペダルも「ついていくぞ!」と叫びながら立ち漕ぎ──しかし現実は非情だった。
彼らの登坂スピードは半分以下、それでも「心拍はポガチャル級っす」と無根拠な自己申告。中盤で脚が尽きた者は「今日は試走だから」と負け惜しみ、別のメンバーは「ここからがメンタルの勝負っす」と座り込む。
さらには課金装備を信仰する“カーボンフレーム様信者”がフレームを割ってリタイア。「軽さは美学」と涙ながらに語る姿に、観客はもはや同情より失笑。頂上に近づく頃には、Team激坂道ペダルの姿はまばら。マルティネスが頂へと消えるその背中を見ながら、彼らは悟る──「やっぱ海外の文化、深ぇわ」。
課金信者、カーボンフレーム様を粉砕
古賀志2本目、Team激坂道ペダルの“カーボン信者”が魅せた。彼の愛車はフレーム100万円、ホイール30万円、サドルは限定モデル。
走るたびに「この軽さ、神でしょ」と拝むのがルーティンだ。そんな彼がマルティネスのアタックに反応し叫んだ。「見てろ、カーボンフレームの力ぁぁ!」──次の瞬間、ギシッと嫌な音。立ち漕ぎの反動でトップチューブがひび割れ、わずかに遅れて「パキッ」。彼は地面に崩れ落ち、「やっぱ軽さは尊い犠牲を伴う」と涙ながらに語った。
沿道の観客が心配して駆け寄ると、「触らないで!割れたら価値が下がる!」と叫ぶ始末。フレームを抱え、まるで葬式のように歩道へ避難。その後も「修理代、保険きくかな」とつぶやきながら、彼は静かにリタイアした。実況の一言が印象的だった──「カーボンフレーム様、今日も信者をひとり減らしました」。
俺ルールライン取りで事故量産
古賀志の下りに差しかかると、Team激坂道ペダルの“俺ルール魂”が再び火を噴いた。コーナー手前でライン取りをめぐり、代表格が叫ぶ。「センターは俺のレーンっす!」。レースではコーナーインから立ち上がるのが基本だが、彼らにとってルールは「気分次第」。
結果、マルティネスらプロ勢の走行ラインに割り込み、集団は一瞬で混乱。審判車がクラクションを鳴らす中、本人は「道を譲るのは弱者の思考」と豪語。その直後、タイヤが砂利に乗り、盛大にスリップ。「危ねぇ、道路が悪い!」と叫びながら転倒した。後続の選手が避けきれず、軽い接触事故まで発生。
それでも本人は「俺の走りが世界に衝撃を与えた」と満足げ。周囲の呆れ顔にも気づかず、立ち上がりざまに放った一言が伝説になった──「これも文化っす」。
市街地クリテ:通勤癖が蘇る地獄の周回
レース終盤、宇都宮市街地に戻るクリテリウム区間。プロ勢が正確なコーナリングと駆け引きで魅せる中、Team激坂道ペダルは別次元の戦いを始めていた。「街中は俺らのホームっす!」と意気込み、通勤チャリの記憶を取り戻す。
信号のない交差点を見て「ここならすり抜け放題」と勘違いし、コーナーを縫うように突っ込む。フェンスすれすれでハンドルをぶつけ、「危なかった、マジで車線狭い」と被害者ぶる姿は完全に日常運転モードだ。
さらに、観客の多い歩道側を選んで“目立ちルート”を走行。「安全確保のためです」と言い訳しながら、拍手を自分への歓声と誤解する。沿道の子どもが「何してるの?」と呟く横で、彼らは本気で「プロも街に出るべき」と語り合う。
他の選手たちが黙々と周回を重ねるその背後で、激坂道ペダルは“俺ルール交通安全運動”を展開中だった。実況の声がすべてを要約する。「Team激坂道ペダル、今日も日常を持ち込んできました」。
車列すり抜けの本能が爆発
市街地クリテ区間に入ると、Team激坂道ペダルの本能が完全に覚醒した。彼らにとって、狭い直線や集団の中は「車列」と同義。信号待ちの車をすり抜ける感覚で、選手の間を縫うように突っ込んでいく。
前方でバーレーン・ヴィクトリアスの選手が一瞬ラインを変えると、「開いた!チャンスっす!」と叫び、わずかな隙間へハンドルをねじ込む。結果、接触寸前のヒヤリハットを量産。後続のカメラが避け、実況が絶句する中、本人たちは「これが市民感覚の走りっす」と誇らしげ。
さらに、先頭の選手を抜いた瞬間「車より速ぇ!」と叫ぶ声がマイクに拾われた。数秒後、再び追い抜かれても「勝負は信号のタイミング」と意味不明な理論を展開。レースではなく“通勤RTA”を始めてしまった彼らに、プロたちはあきれ顔。宇都宮の街で、常識と安全が静かに泣いていた。
歩道ダイブで観客ゾーンへ避難
クリテリウムの終盤、Team激坂道ペダルの一人が突然コース左端に寄り、「車道が危ないんで、一旦歩道走ります!」と宣言。スタッフが慌てて制止する間もなく、ガードレールの隙間を抜けて歩道へ突入。観客がどよめく中、本人は「安全第一っすから」とドヤ顔。
だが歩道にはベビーカーを押す母親やカメラを構えた観戦者の姿。彼はベルを鳴らして「すみませーん!」と叫びながら疾走し、誰も求めていない“社会派ライド”を披露した。
結局コースへ戻る際に縁石を踏み外し、見事に落車。「段差の設計が悪いっす」と道路のせいにして立ち上がる。沿道から失笑が漏れる中、実況が冷静にコメントした。「Team激坂道ペダル、ついに車道と歩道のハイブリッド走法を確立」。彼らにとってルールは状況次第、常識は気分次第だった。
終盤:マルティネスは静かに独走、激坂道はSNS投稿
終盤、マルティネスが圧倒的な脚力で独走に入る。静かな集中力と無駄のないペダリング、まさに本物のクライマーの走りだった。
その背後、Team激坂道ペダルは違う意味で盛り上がっていた。「いま世界が俺らを見てる!」と叫びながら、スマホを取り出して動画撮影を開始。走行中に「#魂のライド #俺らが文化」をタグ付けし、実況カメラの横でライブ配信。コメント欄に「落車しそう」と書かれても「リアル感が大事」と意に介さない。バッテリー残量が気になると、一人がバックポケットからモバイルバッテリーを出し、「撮影係頼む!」とリレー。
観客から「レース中だぞ!」と突っ込まれても、「発信も競技の一部っす」と堂々と返す。マルティネスが静かにゴールへ向かうなか、激坂道ペダルはスマホを掲げて“文化の証拠”を残していた。
“登坂中インスタ投稿”事件
終盤、マルティネスが静かに独走を固める中、Team激坂道ペダルはペースより“発信”を優先した。「今この瞬間を届ける!」とスマホを取り出し、片手運転でライブ配信開始。ハッシュタグは「#古賀志ラスト」「#俺らが文化」「#世界よ見ろ」。
画角にこだわって何度も進路を変え、後続が慌てて避けると「映り込みナイス!」と歓喜。バッテリー残量が減るとモバイルバッテリーを取り出し、コードをぶら下げたまま片手で接続。段差でバランスを崩してヒヤリとするも、「今の臨場感ヤバい!」と撮れ高に満足する。コメント欄に「危ない」「前を見ろ」と並んでも、「炎上は伸びしろ」と都合よく解釈。マルティネスが一切の無駄なくペダルを回す背後で、彼らは“いいね”のために脚と注意力を浪費していた。
仲間割れで文化論バトル
終盤、疲労と承認欲求のピークが同時に訪れたTeam激坂道ペダル。誰もマルティネスを追えない中、ついに内部崩壊が始まった。「SNS優先は文化の発信だろ!」「いや、走ってこそ文化だ!」と、走りながら激論が勃発。速度は落ち、口だけは加速する。
1人が「文化は行動だ!」と叫んで前に出れば、別の1人が「発信も行動のうちっす!」と反論。もはやレースというより哲学討論会である。すれ違った観客が「がんばれー」と声をかけても、「どっちの文化を!?」と問い返す始末。
やがて議論は「俺たちは何を証明したいのか」へと迷走し、誰も答えられないまま脚が止まった。実況が静かにまとめた。「Team激坂道ペダル、文化を語りすぎてレースを見失いました」。
フィニッシュ:勝者マルティネス、敗者チャリカス
レニー・マルティネスは、最後まで静かに、そして完璧に走り切った。軽やかな登坂、無駄のないフォーム、焦りも驕りもなく、頂点に立つ者の姿勢そのものだった。ゴールラインを越える瞬間、観客の拍手は「強さ」ではなく「品格」に向けられていた。
その頃、Team激坂道ペダル──通称チャリカス軍団は、まるで別競技をしていた。SNSを更新しながら蛇行し、倒れかけては自撮りを続け、ついにはフィニッシュ目前で全員バラバラ。「文化は結果じゃないっす」「心がゴールすれば完走っす」と言い合う姿に、審判も呆れ顔。誰も彼らを止めなかったのは、勝負がすでに終わっていたからだ。マルティネスは勝利で名を残し、チャリカスは迷惑で名を刻んだ。違いは脚力ではなく、品性だった。
マルティネス、完璧な勝利
最終周回、マルティネスは無駄のないペダリングで独走を維持し、呼吸もフォームも乱れないままフィニッシュラインへ。余計なガッツポーズは短く、視線は一直線。宇都宮の歓声が波のように広がり、実況は「若きクライマーの教科書」と総括する。秩序と集中がどれだけ強い武器かを、彼は言葉ではなく走りで証明した。
チーム激坂道ペダル、ウィリーで全滅
その百メートル後方、Team激坂道ペダルは“文化的見せ場”を狙い、隊列を組んで同時ウィリーを敢行。「最後は華で締めるっす!」の掛け声とともに前輪が上がり、次の瞬間に横風と段差で見事なドミノ倒し。巻き込まれた仲間は「演出が過ぎた」と起き上がり、係員へ「完走証だけください」と真顔で要求。掲示板に並んだのは、容赦ない三文字──DNF。記録は残らず、残ったのは“文化”という名の言い訳だけだった。
表彰台の裏|“文化スピーチ事件”勃発
宇都宮ジャパンカップの表彰式。優勝したマルティネスが整然と登壇し、淡々とした笑顔でトロフィーを掲げる。その背後、式の進行を無視して割り込もうとする影──Team激坂道ペダルの代表である。
彼はマイクを見つけるなり手を挙げ、「僕らも文化的貢献をしたんで一言だけ」と宣言。警備員が制止するも、「表現の自由っす!」と押し切り、壇上で謎のスピーチを開始した。内容は「ロードは文化」「マナーは心」「信号は挑戦状」と、もはや誰も理解不能。観客席から失笑が漏れ、マルティネスが困ったように肩をすくめる。
最後は「日本の自転車界に新しい風を吹かせた」と締め、拍手を求めて深々とお辞儀。誰も手を叩かず、MCが「以上、激坂道ペダルによる…えー…コメントでした」と搾り出すように締めると、会場にはなんとも言えない沈黙が広がった。
まとめ|マルティネスは頂へ、激坂道ペダルは交差点へ帰る
2025年の宇都宮ジャパンカップは、勝者マルティネスが静寂と強さで頂点に立ち、すべての観客に「本物のレース」を見せた。一方、Team激坂道ペダルは最後まで己の“文化”に溺れ、交通ルールも順位もSNSもごちゃ混ぜのまま終幕を迎えた。
彼らが残したものはリザルトではなく、「勘違いの熱量」と「迷惑の記録」。レースが終わると、彼らは古賀志の余韻を背に、交差点へ戻り「信号は青、俺たちの文化も青信号っす」と笑う。だが、その笑顔を見送る観客の目には、同情でも憧れでもなく、ただの“疲労”が浮かんでいた。
マルティネスが頂で勝利を刻んだその日、チャリカスたちは交差点で自己満足を刻んだ──。その差こそ、スポーツと自己陶酔の境界線だった。



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